神殿の闘神
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最後の戦いになるでしょう」
「はい」
神もそれはようわかっていた。
「今回で決着を着けます。向こうもそのつもりでしょう」
「そうでしょうね」
今度は竜が頷いた。
「明日またこの場所で。楽しみに待っていて下さい」
「はい。最高級のシャンパンを用意しておきますよ」
「有り難いですね。俺はあれが大好きなんですよ」
「ではそれを楽しみにしておいて下さい」
「ええ」
神はバイクに乗った。そして今度は振り向くことはなかった。
「絶対に帰って来て下さいよ、神さん。いや」
竜はここで言い替えた。
「]ライダー」
戦場に向かう神の背は神のものであった。だがそこには仮面ライダー]の姿がはっきりと現われていた。
パルテノン神殿はアテネのアクロポリスの丘にある。この神殿が建てられたのは遥かな昔である。紀元前四三二年に当時の優れた建築家や陶芸家を集めて作られた。アテネの守護神である知と戦いの女神アテネの為の神殿であることは言うまでもない。
ドーリア様式の代表としても知られるこの神殿もギリシアの長い歴史の証人である。東ローマ帝国の時代には教会となっていた。そこに住む神はアテネではなくなっていたのだ。だがその神は変わった。
東ローマ帝国が倒れオスマン=トルコが支配するようになった。今度はイスラムのモスクとなった。この神殿はアテネから二度も主を変えることになったのだ。
ギリシアが独立すると本来の神が戻って来た。かって戦乱に崩壊したこともあったが今ではその姿を取り戻している。そして今もアテネを見守っているのである。
「これがパルテノン神殿か」
神はその前に来た。感慨を込めて神殿を見上げる。
「思っていたよりずっと巨大なんだな」
ここに来たのははじめてであった。初めて見るこの神殿に対して思いを馳せずにはおられなかった。
神が座すこの神殿で今運命の戦いがはじまろうとしていた。神はそのことを考えると複雑な思いになった。
「戦いの女神の神殿での戦いか」
「我等の決着を着けるのに相応しい場所だとは思わないか」
神殿の柱の陰から白いスーツに身を包んだアポロガイストが姿を現わした。
「確かにな」
神はそれに応えた。
「アテナは戦いを司る。だがそれは決してアーレスの好むような戦いではない」
アーレスもまた戦いの神である。ゼウスとヘラの息子だ。同じ戦いの神であってもアテナと違い粗暴で血を好む。その為あまり親しまれてはいない。
「あくまで知と技による戦いなのだ」
「そうか」
神はアポロガイストのその言葉に頷いた。
「我等の戦いに相応しいとは思わないか。かって日本において幾多の死闘を繰り広げた我等にとってな」
「それは貴様に同意する」
「有り難いな。どうやら気に入ってもらえたようだ」
アポロガイストは
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