魔都の攻防
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上海は現代の中国を語るうえで欠かせない街である。
この街が発達したのは宋代からである。港町に適していることに目を着けられ、ここに貿易の監督庁が置かれたのだ。
それから歴史がはじまった。元代には綿花の栽培が行われ、ここから運び出された。そして明代には綿織物の中心地の一つとなったのだ。
だがこの街が知られるようになったのは清代末期からである。この時清は康煕、雍正、乾隆の三人の皇帝による長い黄金時代を終え下り坂に達していた。そこでアヘン戦争が起こったのだ。
ことの発端は貿易からであった。当時清は茶の貿易で巨万の富を得ていた。主な貿易相手はイギリスである。彼等にとって紅茶は欠かせないものであった。
これによりイギリスは大幅な貿易赤字となった。これを解消する為にイギリスは決して手をつけてはいけない禁じ手に走った。阿片である。
阿片の貿易は巨額の富をもたらした。インドで作らせたものを清に売る。清からはこれまでどおり茶を購入するが阿片はインドを通じて行われる。所謂三角貿易だ。
これにより清では阿片中毒患者が急増する。これに困った清朝は林則徐を送り込む。
彼は何とかして阿片に浸る民衆を救おうと考えた。そして阿片を片っ端から押収し、処分した。
これに怒ったイギリスは清朝に宣戦を布告した。これがアヘン戦争である。これに敗れた清は南京条約を結びイギリスに屈服する。こうした時代であった。今現在イギリスが麻薬に悩まされているのはこれの因果応報であろうか。
この条約で上海に租借地ができた。これがこの街の運命を変えたのだ。
外国人がやってきたことはこの街に大きな影響を与えた。国際意識を持つようになり、文化にも影響を与えた。そしてこの街に人が集まるようになった。
清朝が滅んでもこの街の状況は変わらなかった。相変わらず外国人が出入りし、商人達が活発に動き回っていた。国民党の時代には浙江財閥の本拠地となっていた。南京に首都を置いた国民党政府にとっては南京と並ぶ重要な都市であったのだ。
共産党の時代でもこの都市は重要であった。文化大革命のはじまりはこの街からであった。十年に及ぶ無意味な内乱もここからはじまったのだ。
そして今は中国の経済の中心である。中国は昔から経済の中心は長江流域であった。その長江のはじまりであり終わりであるこの街は今も眠ることなく動いているのだ。
「噂には聞いていたが凄いな」
風見志郎はその上海の街中にいた。
「北京や重慶も凄かったが。ここはまた別格だな」
「そうですね」
隣にいた役が頷いた。
「何といってもここは中国で最も活気に満ちた街だと言われていますからね」
「中国のか」
「はい、それだけにその動きも激しいです」
「確かに。止まっていたら飲み込まれそうだ」
人々だけではない。車やバイクも
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