魔都の攻防
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国の為に戦っていた。だから互いに我慢をすることもあった」
彼の顔は次第い憎悪で歪んできた。
「あの時もそうであった筈だ。だがあの男はわしを陥れた」
「ほう」
ゲーはここで眉を上げた。
「敵の中にいる時にあの男は逃げた。わしを見捨ててな。いや」
その顔がさらに歪んできた。
「最初からそのつもりだったのだ。あの男、ダモンは敵にわしを殺させるつもりだったのだ」
こういう話がある。木の枝を隠すには林の中に隠す。死体を隠すには戦場に隠す。
「今までの衝突からの怨恨もあった。いずれは互いにそうなる運命だったかも知れぬ。しかし」
最早その顔は悪鬼のそれであった。
「殺すのはわしの方だった。あの男はわしを先に陥れたのだ」
「食うか、食われるか、か」
「そう言うかも知れんな」
彼はいささか落ち着いた。そしてそううそぶいた。
「奴はその直後ショッカーには入った。おそらくそこでさらなる力を欲したのだろう。あるいは祖国に見切りをつけたか」
「両方だろうな」
「それはよい。わしはポル=ポトの兵士達の銃撃に倒れた。そして生き残った兵士達により埋葬された。それから長きに渡って眠っていた」
「それをマシーン大元帥により醒ませられた」
「うむ」
彼はその言葉に頷いた。
「そして大首領のお力により復活した。暗闇大使としてな」
「そうだったのか」
ゲーはそれを聞き息を吐いた。
「それだけのことがあったのか」
「済まんな、愚痴を言ってしまった」
「いや、構わん。わしはそのようなことを責めるつもりはない。だがお主に何かあれば牽制程度はしよう。今回のことは助かるしな」
「そうか」
「ではわしもすぐに動かなければな」
そう言うと扉の方へ動いた。
「もう行くのか」
「そうだ。あの男は手強い。すぐに動かなければ機を逃してしまう。まずはあの男を倒す。中国はそのあとでどうにでもなる」
「早いな。戦力はあるのか」
「戦力か」
ドクトル=ゲーは暗闇大使のその言葉に唇の右の端を一瞬だけ歪めさせた。
「わし自身だ。わかっているだろう」
「そういうことか」
大使も口の両端だけで微かに笑った。
「では健闘を祈るぞ」
「うむ」
ゲーは扉の前に立った。
「では待っているがいい。仮面ラァーーーーーイダX3の首をな」
「楽しみにしていよう」
ゲーはそれを聞くと扉の中に消えた。
「さて、どうなるか」
暗闇大使は彼が消えた扉を見て呟いた。
「あの男も死力を尽くすだろうが相手も手強い。行方はわからんな」
それは彼の頭脳をもってしても不明であった。
「他にも手を打っておく必要があるな。狡猾な奴のことだ、そうそう罠にはかからぬだろうが」
従兄弟の性質は誰よりもわかっていた。
「わしも動こう」
そう言うとマン
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