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仮面ライダーZX 〜十人の光の戦士達〜
魔都の攻防
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「だが戦いは終わりではなかった」
 その後はアメリカ軍が来た。南ベトナムにサイゴンを拠点として傀儡政権を作りそこから支配しようとした。
「我々は密林の中に潜み戦った」
 正規戦も行った。だがそれ以上にアメリカ軍を悩ませたのが彼等のゲリラ戦であったのだ。
「何とか勝った。そして遂に祖国は統一された」
「それで終わりでないのが我々の世界だな」
 ゲーはここで言った。
「そうだった」
 大使はまた虚空を見た。
「今度は中国だった。奴等もフランスやアメリカと同じだった」
 中国は歴史的にベトナムを自分達の領土とみなしていた。だから攻めて来るのは必然であった。
「それも破った。その頃にはホー=チ=ミンは既にこの世にはなかった」
「それからお主達はどうしたのだ?」
「カンボジアでの戦いに参戦した」
「そうだったな」
 当時隣国カンボジアはポル=ポトという狂気の独裁者による異常な恐怖政治が行われていた。彼等は経済も文化も芸術も全て破壊し知識人や都市に住む者を虐殺していった。それはカンボジアの人口の半数近くに及んだという説もある程であった。バダンに比肩し得る狂人の集団であった。
「あの地に攻め込んだのは中国との戦いの前だった。だが我々がその地に向かったのはその後だった」
 中国に勝ってもベトナムに安息の時はなかったのだ。
「ダモンもわしも戦いを辛いと思ったことはなかった。我々は常に共に行動していた」
「指揮官と参謀としてだな」
「うむ」
 彼は頷いた。
「あの時もそうだった。激情的で力押しを得意とする奴に対してわしは策略を得意とした」
「あの男の性格はあの頃から変わってはおらんようだな」
「・・・・・・・・・」
 暗闇大使はそれには答えなかった。
「まあいい。話を続けてくれ」
 大使はそれには答えなかった。だがそのかわりにまた口を開いた。
「あの男を補佐してわしが作戦立案、計画する。奴が実際の指揮を執る。こうして長い間我々は常に勝ってきた。フランスにもアメリカにも中国にも。かって日本軍ですら成し得ぬことをやり遂げたのだ」
 それがベトナムの誇りであった。いかなる国にも屈しないという。
「あの時もそうだった。ダモンとわしは戦場で指揮を執っていた」
 カンボジアもまたジャングルである。アマゾンが戦ったアンコールワットもその中にあった。
「そこでわしは知ったのだ。あの男の真意を」
「それは何だ」
「あの男はわしを憎悪していたのだ。そう、自らの半身をな」
 彼等は見れば見る程似ている。まるで鏡のように。
「あの男は次第にわしを疎んじるようになっていた。以前から作戦については意見対立が多かったしな」
「当然だろうな。指揮官と参謀の意見が食い違うことはよくあることだ」
「それは最初からだった。だが我々は祖
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