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仮面ライダーZX 〜十人の光の戦士達〜
魔都の攻防
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=ゲーを見据えて言った。
「だが奴が下手なことをせぬようにしてもらいたいのだ」
「ふむ」
 ゲーはそれを聞き顎に手を当てて考えた。
「わかった」
 そして顔を上げた。
「今回のことを考えるとな。喜んでやらせてもらおう」
「恩に着る」
 暗闇大使は無気味な笑いを浮かべた。
「しかしだ」
 ドクトル=ゲーはここで眉を顰めさせた。
「お主とあの男のことだが」
「何だ」
 大使はそれについて尋ねられたのが内心面白くなかったのだろう。微かに顔を歪めさせた。
「確か従兄弟同士だった筈だが」
「その通りだ」
 かろうじてそれを心の中に押し込めて頷いた。
「どうしていがみ合うのだ。かっては共に祖国の為に戦っていたと聞いたが」
「それは認める」
 だが憎悪も認めていた。
「あの男が指揮官、わしが参謀だった」
 彼は苦虫を噛み潰した顔で答えた。
「思えば忌々しい話だ」
「何故だ?」
「わしがあの男の下にいたからだ。その他に理由があるか」
 彼はゲーを睨み付けて言った。半ば叫んでいた。
「そうか」
 だがゲーは落ち着いた物腰のままであった。
「それ程までにあの男が憎いか」
「否定はしない」
 彼は言った。
「色々とあったらしいな。戦場で」
「うむ」
「ベトナムにいたそうだが」
「長い戦いだった」
 彼は上を見上げた。そして虚空にその戦いの日々を浮かべた。
「我々はかってフランスに抑圧されていた」
 ベトナムはフランスの植民地であった。彼等はこの地で典型的な植民地統治を行なっていたのだ。
「どの者も無気力だった。だがそれが一変した」
 フランスがドイツに敗れたのだ。それに乗じて日本がこの地にやって来たのだ。
「日本人達は厳格だった。融通が利かず短気で何かあるとすぐに手をあげた」
 当時の日本軍の軍人達は確かにそうであった。
「だが同時に彼等は公正だった。規律に厳しく、我々に対してフランスのようなことはしなかった」
 彼と地獄大使は幼い時に日本軍と会ったのだ。
「わしもダモンも彼等に会い目覚めた」
 日本軍は彼等に武器を与えた。そして戦士になるよう教えたのだ。
「我々も日本軍のように戦った。彼等は確かに苛烈だったがそれだけに強かった」
 あれ程自分達に対して絶対的な強さを誇示し、威張り散らしていたフランス軍が呆気なく敗れていった。それを見た彼等の驚きはどれだけのものだっただろう。
「彼等は最後には敗れた。しかし」
 もう彼等は無力な植民地の民ではなかった。誇り高きベトナム人民だったのだ。
「わし等はホー=チ=ミンの軍に入った」
「人民軍だな」
「そうだ。そしてそこで我々は頭角を表わした」
 ベトナム人民軍は強かった。彼等にとってフランス軍は最早敵ではなかった。瞬く間に破っていった
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