隻眼の軍人
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中東には多くの戦火の跡が残されている。
かって四度の中東戦争があった。これはイスラエルとアラブ諸国の間で行われた戦争である。
これはイギリスの二枚舌外交に大きな要因があった。だがそれにも増してアラブとイスラエルの対立は激しかったのだ。
スエズやシナイ半島を巡って干戈を交えた。結果としてイスラエルは国土を守り多くの占領地を獲得した。
だがここで多くの深刻な問題が生じた。その一つがパエスチナ問題である。
この問題も複雑かつ深刻である。一朝一夜で解決できるものではない。
中東の問題は他にもある。クルド人にしろそうであるし原理主義者達もいる。いまだに中東は世界の火薬庫であるのだ。
その中東でかって最大の都市と謳われアラビアンンアイトにもその栄華を残す街がバグダットである。この街に今二人の男がいた。
「まだまだ戦争の傷跡があるな」
筑波洋は街を見回して言った。
「そらそうですやろ、あそこまで徹底的にやりましたからなあ」
がんがんじいも隣にいる。二人はバグダットの街を見回しながら歩いている。
「原因はどうあれ激しい戦争だったからな。そうおいそれとは修復しないか」
「ミサイルやら爆撃やらでようさん攻められてましたしな。人も大勢死んだし」
「そうだな」
筑波はそれを聞くと表情を暗くさせた。
「人間は愚かなこともする。戦争なんかはその際たるものだ」
戦争が行われる度に平和を言う人がいる。だがその人も別の立場だと戦争を主張したりする。それが人間の一面である。
逆に絶対的な平和主義というのも胡散臭い。我が国では口でそれをとなえても裏でテロリストや北朝鮮の如き悪辣な独裁国家と結託している自称平和主義者もいる。こうした連中が正義の味方の仮面を被り声高に己が主張を押し通そうとする。まことに卑しい話である。
「人は戦わなくちゃいけない時がある」
筑波はそう思っている。
「愛するもの、守るべきものがある時には」
彼は平和を愛している。だが平和主義者ではない。
平和を守る為に戦う戦士、それこそがライダーである。彼はその力を平和の為に使っているのだ。
ここで後ろから爆発がした。
「ん!?」
二人はそちらに顔を向けた。見ればビルが爆破されている。
「原理主義者でっしゃろか」
「多分」
筑波はがんがんじいの言葉に頷いた。
「行こう、負傷者がいたら救助しないと」
「はい」
二人は爆発したビルの方へ向かった。そして負傷者の救助にあたった。
今もバグダットは駐留する外国の軍隊と原理主義者達の戦いが続いている。双方共無益な血を流しながらもまだ陰惨な戦いを続けている。その中で巻き添えとなり無数の屍が築かれようとも。
筑波とがんがんじいは負傷者の救助を終えると赤十字の医療所に来た。そこでテロの話を報
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