隻眼の軍人
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筈は既に整えている」
「そうか。どうやってするつもりだ」
「それを言ってしまっては面白くないだろう」
「確かに」
「楽しみにしておれ。中国は仮面ラァーーーーイダX3と共に必ずやこの世から消え去る」
「期待しておこう」
タイタンは素っ気ない声で言った。
「だがあの男もかなり手強いのだろう」
「それはよく知っている」
ドクトル=ゲーはタイタンに目を向けた。
「私がもっともよく、な」
「ほお」
タイタンはここで彼の目の色が変わったことを見た。
「デストロンでもそうだったからな。そして」
「シンガポールでも」
「うむ」
彼はここで頷いた。
「よく知っているな」
「当然だ。俺も伊達に地底王国の主となったわけではない」
彼は平然とした態度で言葉を返した。
「お主にとってはどれも痛恨の敗北だったな」
「それは認める」
不本意ではあっても、だ。
「しかしそれも今回で最後だ。この悪魔生霊の力でな」
「生霊か」
タイタンはそれを聞いて目の色を少し変えた。
「その力、面白そうだな」
「ドイツに伝わる黒魔術の一つだ」
「北欧の神々の力を使ったものか!?」
ドイツの神々と北欧の神々は同じである。嵐の神ヴォータンや雷の神ドンナー、炎の神ローゲ、ワーグナーの楽劇にも登場する彼等は北欧の凍てついた大地より生まれた。
金色の髪に青い瞳を持つ彼等はその神々を心の奥に持つ。それは魔女や魔術師達により密かに伝えられていたのだ。
「そうだな。系列ではそうだろう」
「ふむ」
タイタンはドクトル=ゲーの説明を聞き一応納得した。
「だがそれだけではないだろう」
それに気付かぬタイタンではない。彼はドクトル=ゲーに対して言った。
「鋭いな」
ゲーはそれを肯定した。
「よくわかったな」
「わからないと思ったか」
タイタンの言葉は不敵なものであった。
「俺も黒魔術を使うのでな」
「そうだったな、それもかなりのものと聞いたが」
「そんなに使う機会はないがな。それでも一通りは知っている」
「そうか」
「それでその魔術には何を入れているのだ?」
「聞きたいか?」
「いや」
タイタンはここで首を横に振った。
「聞いては面白くない。当ててみせよう」
彼はゲーの魔術を当てることにした。
「そうだな」
彼は暫し考え込んだ。
「悪魔生霊というが俗にキリスト教でいう悪魔ではないな」
「ふむ」
ゲーはそれを聞き眉を少し上げた。
「そうだな。黒魔術とは実は悪魔の術ではない」
そうなのである。実際はゲルマンのルーン文字やケルトのドルイドの術の流れを汲むものが多いのだ。
「巨人族の術だな」
「そうだ」
ドクトル=ゲーはそれを認めた。
「それも霜の巨人や山の巨人ではない」
北欧
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