暁 〜小説投稿サイト〜
仮面ライダーZX 〜十人の光の戦士達〜
隻眼の軍人
[3/23]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
目を戻した。
「貴方のように戦場で子供達を救う人も必要なのです。俺は馬鹿なんで上手くは言えませんが」
「いえ」
 医者はここでようやく微笑んだ。
「貴方の言葉で目が覚めました。そうですね、傷ついた人々を助けなくては」
「わかってくれましたか」
 筑波もそれを見て微笑んだ。
「はい、これからもここに留まりあの子供達の側にいることにします」
 彼はそう言うとまた子供達の方に顔を向けた。
「お願いします」
 筑波は右手を差し出した。
「わかりました」
 彼もそれにならった。そして二人は固い握手を交わした。

「洋さんは優しいですな」
 病院を離れた筑波にがんがんじいが言った。
「俺は別に優しくなんかないよ」
 筑波はそれに対して苦笑して答えた。
「俺はライダーだからな。ライダーは人を救うことが務めだ。それに」
 がんがんじいに顔を向けた。
「がんがんじいの方がよっぽど優しいよ」
「それは買い被りでっせ」
 がんがんじいは顔を真っ赤にして言った。
「わいみたいなええ加減な人間そうはおりまへんで」
「いや、それは違う」
 筑波はそんな彼に対して言った。
「がんがんじいはいつも身体を張って戦ってるじゃないか。人を守る為に」
「それはまあ正義の味方の務めですさかい」
「それで今までどれだけ傷を負ってきたか。その身体を見ればわかるよ」
 見ればその身体のあちこちに傷がある。大きいのも小さいのも無数にある。
「これはわいが弱いから」
「弱いからじゃないよ、それは勲章だ」
「勲章・・・・・・」
「そう、がんがんじいはそれだけ人々を守る為に戦ってきたという証だよ。それが勲章じゃなくて何だというんだ」
「そうでっしゃろか」
「そうだよ、少なくとも俺はそう思っている」
「洋さん」
 がんがんじいはその言葉にじんときた。今まで彼と共に戦ってきたが今の言葉はとりわけ心に響いた。
 筑波は心優しい戦士である。彼は悪と戦う心と同時に人々をいたわる心も併せ持っている。
「心に優しさがないとライダーになれない」
 かって本郷猛が言った言葉だ。彼等は改造人間だ。だがその心は人間である。
 だからこそ哀しみを背負っている。孤独である。だがその哀しみと孤独を乗り越えて悪と戦い、人々を愛さなければならないのだ。それがライダーなのだから。
 がんがんじいもそれを知っている。だからこそ筑波のそんな言葉と心遣いが有り難いのだ。
「洋さん」
 彼はまた筑波の名を呼んだ。
「何だい」
「夕食にしましょうや、そろそろ」
「もうそんな時間か」
 見れば夕陽が沈もうとしている。家からは煙があがってきている。
「じゃあ何処かで食べよう。羊がいいな」
「今日はわいがおごりますわ」
「え、いいよそんなの。いつも通り割り勘でい
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ