十三人の自分
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たのです」
「しかしすぐにゲルショッカーができた」
「はい」
役は頷いた。
「ゲルショッカーの改造人間達はショッカーのそれよりも強力でした」
彼等は二種類の動物を使って改造人間を作り上げた。その戦闘能力はショッカーの改造人間達を遥かに凌駕していた
のである。
「しかし彼等もダブルライダーの前に倒れました。悪の組織はそれからも次々に姿を現わしました。しかし」
役はここで言葉を切った。
「彼等はことごとく崩壊しています」
「ですね。悪の組織は最後は必ず崩壊しています」
「バダンもそれは同じ」
役はここでこう言った。
「村雨さん、バダンといえど無敵ではありません」
彼は村雨を諭すように、励ますようにして言った。
「必ず戦力には限りがありそして弱点も必ずあるのです」
「弱点・・・・・・」
村雨はそれを聞いて考える目をした。
「弱点と言いましょうか」
彼はここでまた考える顔をした。
「天敵です」
「天敵、ですか」
益々話が読めなくなった。彼は少し困ったような顔をした。
「わかりやすく言いましょうか」
役はここで微笑んでみせた。
「お願いします」
村雨は苦笑してそれを望んだ。
「はい、全ての悪の組織はライダー達によって滅ぼされています」
「ライダー達によって」
「そうです、ライダー達はどれ程強大な組織が相手でも勝利を収めてきました。そして世界を守ってきたのです」
役は話を続けた。
「あの首領の野望はライダー達によって全て阻止されてきました」
「どれだけ悪知恵を働かせても」
「そうです。それこそライダー達が彼等にとって最大の脅威である証なのです」
役の声はこれまでとは少し違い力が入っていた。
「そして村雨さん」
彼はここで村雨に強い視線を浴びせた。
「貴方もまたそのライダーの一人なのです」
「俺も・・・・・・」
そう言われた彼の顔が引き締まった。
「はい、貴方はそのことをよく知って下さい」
彼の声は強いままであった。
「貴方はバダンを滅ぼし、世界を救うことのできる男なのです」
「俺が、ですか」
彼はここで少し自嘲気味の声を出した。
「姉さん一人救えなかった男が」
「はい」
話を聞いているのか、いないのか役は彼に対して言った。
「貴方の力が今必要なのですよ」
「役さん・・・・・・」
彼は意外に思った。今まで役はクールで感情を表に出さない男であった。だが今はどうだ。
こうして強い声で自分に語りかけてくる。そしてその声は村雨の心を激しく打ってくる。
「皆そうでした」
役は言った。
「どのライダー達も。皆大切なものを彼等に奪われています」
「・・・・・・・・・」
それは知っているつもりであった。彼等の多くは恩師や親友、家族を悪の
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