十三人の自分
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したな」
暗黒の中からあの首領の声がする。
「奇巌山の時といい中々演出が巧いな」
見れば暗闇の中央に何者かが浮かんでいる。
「これも戦いのうちです」
見れば暗闇大使であった。軍服に身を包んでいる。
「戦いは晴れの舞台、思い切った演出も必要です」
「演出か」
首領はそれを聞いて楽しそうな声をあげた。
「貴様は中々の演出家だな、それを聞くと」
「有り難うございます」
大使はそれを聞いて頭を垂れた。
「やはり貴様を最高幹部にしたのは正解だったようだな。切れる奴だ。ところで」
首領はここで話を変えた。
「あれはどうなっている」
「あれでございますか」
暗闇大使は顔を上げながら言った。
「そうだ。そろそろ開発が終了する頃だが」
「御心配無用です」
彼は落ち着いた声で言った。
「既に開発は終了しております」
その声には余裕すらあった。
「そうか、それは何よりだ」
暗闇に響き渡る首領の声はさらに上機嫌なものになった。
「ではすぐにそれを各地に送るがよい」
「わかりました」
大使はその命令に対し頭を下げた。
「既に各地の同志達には作戦のことを伝えております故」
「手回しが早いな」
「そうでなくてはライダーに遅れをとるかと」
「フフフ、確かに」
首領はライダーの名を聞いて笑った。
「今まではそれで奴等にやられてきた、常にな」
そうであった。ショッカーの時からである。
「だがこれからは違う」
「はい」
大使はその言葉に頭を垂れた。
「ライダー達の慌てふためく顔が目に見えるようだ」
声はまた上機嫌になった。
「世界が滅亡し絶望と暗黒が支配する世界」
首領は言葉を続けた。
「その世界が訪れる時がやって来たのだ」
「はい、我等の理想の世界が遂にこの世を覆うのです」
暗闇大使の声も上機嫌なものであった。
「今までどれだけライダー達にそれを阻まれてきたことか」
それまでのことが脳裏に浮かぶ。首領はそれに対し歯噛みしたようだ。
「しかしそれもこれまでだ。暗闇大使よ」
「ハッ」
大使は敬礼した。
「ライダーを倒せ、世界を支配しろ」
「お言葉のままに」
「そして全てをこの私が支配するのだ。永遠にな」
「永遠に絶望と暗黒が支配する世界」
彼はニヤリと笑って言った。
「地獄の黒い炎で絶え間なく焼かれる世界」
「そうだ、その世界がもうすぐやって来る、地獄が」
首領は目を細めたような声を出した。
「漆黒の中におわす偉大なる首領よ」
暗闇大使はここで首領に対して言った。
「私の全ては貴方の為に」
そう言うとまた敬礼した。
「暗闇大使よ、信頼しているぞ、暗黒の使いよ」
「お任せ下さい」
その瞬間彼の全身を暗黒が覆った。あの黒い光であっ
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