十三人の自分
[26/29]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ゼクロスも言った。
「何なら今ここで倒してもいいのだが」
そしてその手に手裏剣と爆弾を持った。
「フン」
大使はそれを見て口の端を歪めた。
「せっかちな奴だ。余裕がない男は好かれぬぞ」
「そうした態度が何時までとれるかな」
彼は手裏剣を身構えて言った。
「そのようなものでか」
だが大使は手裏剣を見て嘲笑した。
「馬鹿な男よ、オモチャでわしを倒そうなどとは」
「オモチャというか。これを」
「ではそれでわしを倒してみよ」
彼はあえてゼクロスを嘲笑する言葉を吐いた。ゼクロスはそれに対し無言で手裏剣を放った。
それは一直線に暗闇大使の額を狙う。大使はそれを微動さにせず見ている。
「フン」
そして一瞬口の端を歪めたかと思うとマントを翻らせた。
「ムッ!?」
それだけであった。手裏剣はマントの中に消えた。
「この程度だということだ、貴様の自慢の武器はな」
彼は笑ったまま言った。
「馬鹿な、俺の手裏剣をこうも簡単に」
ゼクロスは流石に狼狽の色を見せた。
「これも先程の力だ」
「黒い光か」
「そうだ。これで少しはわかっただろう、我等の力が何であるかを」
「魔術か。それも黒魔術」
役は暗闇大使に対して銃を構えながら言った。
「そうだ。どうやら只のインターポールの人間ではないようだな」
「生憎。日本から来ていますから」
役は答えた。
「フフフ、そうか」
それだけではないだろう、と言うつもりだったが止めた。
「普通の黒魔術でもないがな」
暗闇大使はまだ余裕があった。
「だが今それを全て見せるつもりはない」
彼は言った。
「楽しみはあとまでゆっくりととっておきたいしな」
「余裕だな、すぐに滅びるというのに」
ゼクロスはまた言った。
「滅びるのはどちらかな」
大使は言葉を返した。
「その言葉は貴様等ライダーに返しておこう。今はな」
彼はそう言うとマントで全身を覆った。
「さらばだ」
そして姿を消す。十二人のゼクロス達もそれに続く。
「待てっ!」
ゼクロスはそれを追おうとする。だがそれはできなかった。
彼等は光の中に消えた。そしてそのまま黒い光に包まれていく。
ゼクロスは衝撃集中爆弾を投げた。だがそれも黒い光に吸い込まれた。
「無駄だ、それはわかっているだろう」
黒い光の中から大使の声がした。
「この光には誰もあがらえぬ」
「クッ・・・・・・」
ゼクロスは歯噛みした。
「ゼクロスよ」
最早彼の姿は見えなくなっていた。
「また会おう。その時がバダンが世界を征服している時だ」
それが最後の言葉であった。暗闇大使も十二人のゼクロスも姿を消していた。
「消えましたね」
役はそれを見て言った。
「ええ」
ゼクロスは
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ