十三人の自分
[24/29]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
「貴様がよく知っている者達だ」
「俺が!?」
「そうだ。来い」
暗闇大使は横に顔を向けた。するとそこに一人の男の影が現われた。
「ム・・・・・・」
ゼクロスはその影を見て声を漏らした。
「やはり生きていたか」
そして言った。影は次第に人になっていく。
「フフフ」
それは三影であった。サングラスに黒い皮のジャケットを身に着けている。
「村雨、いやゼクロス」
彼はサングラスを取り外してゼクロスに対して言った。
「久し振りだな。元気そうで何よりだ」
そしてその機械の左眼で彼を見た。
「俺はようやくこうして出られるようになったばかりだがな」
そう言うと再びサングラスをかけた。
「貴様の一撃は効いたぞ」
「そうか」
ゼクロスは無機質な声で答えた。
「フン、相変わらず感情の乏しい奴だ。しかし」
彼は言葉を続けた。
「それも今のうちだ」
「何!?」
ゼクロスはその言葉に対し身を前に乗り出した。
「待て」
大使は二人の間に立つようにしてそれを静止した。
「三影も挑発はよせ。今は戦わぬ」
「わかりました」
三影は口の端だけで笑って言った。
「言っておくが貴様に会いたいのはこの男だけではない」
「だろうな」
三影が出て来た時点である程度はわかっていた。
「いでよ、我がバダンの戦士達よ」
彼の言葉と共に無数の影が姿を現わした。それは暗闇大使の左右に現われた。
それはあの者達であった。バダンの改造人間となった者達、皆凄みのある笑みを浮かべてゼクロスを見据えていた。
「久し振りですね、ゼクロス」
ヤマアラシロイドもいた。彼もまた不敵な笑みを浮かべている。
「約束通り戻って来ましたよ」
「俺は約束した覚えはないが」
「ふふふ、相変わらず冗談の下手な方だ」
そう言うと目を光らせた。
「私を倒したあれが約束でなくて何だというのか」
「よせ」
暗闇大使はまた止めた。
「折角再会の場所を与えてやったというのに」
「これは失礼しました」
ヤマアラシロイドは恭しく頭を垂れて応えた。
「では私も静かにしておきましょう」
そして暗闇大使の側に控えた。
「わかればよい」
大使は彼に顔を向けて言った。その口には微笑みがあった。
「さてゼクロスよ」
そしてゼクロスに顔を戻した。
「どうだ、感動の再会だろう」
喜びを噛み締めた様な声でゼクロスに対し言った。
「俺はそうは思わないがな」
ゼクロスはやはり無機質な声で返した。
「まあそう言うな」
大使はそんな彼に言った。
「これから貴様に面白いものを見せるのだからな」
「何!?」
ゼクロスは彼の顔を見た。
「何だそれは」
「見たいようだな」
大使はあえて言葉に余裕を含ませている。
「
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ