十三人の自分
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きたのだ。
「まだ闘えるというのか」
ゼクロスはそれを見て言った。
「安心しろ」
だがマシーン大元帥は言った。
「私はもう闘えるだけの力は持っていない。貴様の勝ちだ」
「そうか」
ゼクロスはそれを聞いて動きを止めた。
「よくぞこの私を倒した。そのことは褒めてやる」
彼は静かに言った。
「だがな」
無論それで言葉は終わらせない。
「それでバダンを倒せるとは思わないことだ」
彼は傲然と胸を張って言った。
「バダンの力はこんなものではない。貴様はいずれそれを知ることになるだろう」
いささかありきたりな言葉であったが彼が言うと妙な重みがあった。
「それを私は地獄から見ることにしよう。ゼクロスよ」
そして彼に対して言った。
「地獄で待っているぞ。バダンに栄光あれーーーーーーーっ!」
それが最期の言葉であった。マシーン大元帥は前に倒れると爆死した。
「終わりましたね」
役はゼクロスの側に歩み寄ってきた。そして彼に声をかけた。
「はい、流石はデルザーでもその力を知られただけはあります」
ゼクロスは爆風を身体に浴びながら言った。
「見事でした。闘いも、その最期も」
素直に敬意を払っていた。敵といえど戦士への敬意を忘れてはいなかった。
「はい、敵とはいえ立派でした」
役も同意した。マシーン大元帥の身体は爆発により欠片すら残ってはいなかった。
「これでカナダでのバダンの勢力は壊滅しましたね」
「ええ、これで終わりです」
役が答えたその時であった。
「確かにマシーン大元帥は死んだ」
二人の後ろから声がした。
「その声はっ!?」
二人は慌てて後ろを振り向いた。同時に身構える。そこに彼がいた。
「フフフフフ」
暗闇大使が無気味な笑みを浮かべて立っていた。既に黄金色のバトルボディに全身を包み右手には鞭を持っている。
「ゼクロスよ、久し振りだな」
「会いたくはなかったがな」
ゼクロスは彼を睨んで言った。
「だがここで会ったのが貴様にとって運の尽きだ」
そう言いながら身構えた。
「死ね」
「まあ待て」
だが暗闇大使はそんな彼に対して言った。
「今日は貴様と戦う為に来たのではない」
「どういうことだ!?」
ゼクロスと役はその言葉に一瞬首を傾げた。
「貴様に紹介したい者達がいてな」
「紹介!?」
「また何か企んでいるというのか!?」
役は咄嗟に拳銃を懐から取り出した。
「待てというのだ。貴様等と戦うつもりはないと言っただろう」
「ムウ」
「わしとてバダン最高幹部として誇りがある。言ったことは嘘ではない」
その言葉には偽りは感じられなかった。それを聞いて二人は警戒しながらも武器を収めた。
「それは誰だ」
ゼクロスはあらためて問うた。
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