十三人の自分
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ろう」
彼には予感があった。
「動くのはそれからでもいい。そしてそれよりも」
ここで彼の目が光った。
「仮面ラァーーーーイダX3との戦いの準備をしておかなくてはな」
彼は仇敵との対決に思いを馳せた。そしてその場から消えた。
ヘビ女との戦いを終えた村雨良はそのまま北上しカナダに入った。
カナダはアメリカの北にある。だがアメリカとは違い何処か影の薄い印象がある。
「そういえばカナダに来たのははじめてだったな」
村雨はトロントに到着してそう呟いた。
カナダはイギリス連邦に属している。その国土は広いが人口は少ない。そしてその国民性も比較的穏やかである。
街並みにもそれはあらわれている。何処か物静かである。そして人々の服もアメリカに比べるとかなり地味である。
「気候も関係あるのかな」
村雨はふとそう思った。カナダは冷帯及び寒帯に属する。北の方は北極圏にある。
北の方では多くの島々がある。だがそこに人は殆どいない。北極圏は人が住むにはあまりに過酷であった。イヌイット達が吹雪の中で暮らしているだけであった。
だがこのトロントはまだ比較的温厚な気候である。人口も比較的多く五〇〇万に達する。そして移民も多い。
移民といえばアメリカであるがこのカナダも移民の国である。中国系等アジア系が多いことでも知られている。街中を見ればそこにはうどん屋等日本料理店の店もある。
「うどんか。そういえば長い間食べていないな」
村雨は腹が空いていることに気付いた。そしてその店に入った。
うどんは有り難いことに本格的な和風のうどんであった。よく海外に見られる変に甘かったりダシがコンソメやトリガラのものではなかった。そして麺もしっかりとしていた。
「美味かったな」
食べた村雨の感想は率直であった。彼も祖国の味を忘れたわけではなかった。
腹ごしらえを終えた彼はそのまま街中を歩いた。見ればかなりバラエティに富んだ街である。
中華街があればイタリアンタウンもある。ネイティブ=カナディアン、すなわちインディアンの街もあった。カナダではインディアン達は主に森林地帯に住んでいたこともありそれ程弾圧はされなかったのである。アメリカのように虐殺などされはしなかったし天然痘菌が着いた毛布を渡されることもなかった。
残念ながらこうしたことは人類の歴史においてはよくあることである。西部劇では白人の騎兵隊やガンマン達が悪辣で野蛮なインディアン達を倒しているその騎兵隊やガンマン達こそ侵略者であった。彼等は次々と西へ、西へと進みインディアン達を殺戮しその土地を奪っていった。丁度中国の歴代王朝が北方の遊牧民族達を野蛮人と罵りながら彼等の土地を開墾し北へ、北へと追いやったように。こういう意味でアメリカと中国はその根は同じであろう。
白人と書い
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