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仮面ライダーZX 〜十人の光の戦士達〜
霧の中の断頭台
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ないことが彼にはよくわかった。
 だがそれには及ばなかった。
「既に来ているが」
 声がした。大佐はそちらを振り向いた。
「来ていたのか」
「うむ、丁度私の方も話をしたいと思ってな」
 ブラック将軍は左手のサーベルで右手の平をポンポンと叩きながら部屋に入って来た。
「本郷猛と一文字隼人がこのロンドンに来ている」
「そうだ、それに対しどうするかだ」
 将軍は大佐の話を聞きながらその暗い目を光らせた。
「どうするかは決まっているがな。排除するだけだ」
「うむ。では怪人を出すとしよう」
 将軍は話がわかっているのかどうかすら疑う程冷静であった。
「丁度私の作戦がそれだったしな」
「有り難いな。俺の怪人達だけではあの二人に勝つのは難しいからな」
「冷静だな。地獄大使とは違い」
「俺をあのようなおっちょこちょいと一緒にしてくれては困るな」
 彼はそう言うと口の左端を歪めた。地獄大使の感情の起伏の激しさはショッカーの頃から有名であった。彼は自ら前線に出て指揮を執ることを好むが反面一つのことに没頭する癖もあったのだ。
「そういえば最近あの男は何かと焦っているようだな」
「そのようだな。どうも従兄弟に対し何かと含むところがあるようだ」
 地獄大使と暗闇大使、かっては東南アジアで共に戦った血を分けた従兄弟同士であった。外見はまるで双子の様であったがその気性はまるで違っていた。そして近親憎悪であろうか。それとも前に何かあったのだろうか。彼等ははたから見てもわかる程激しく憎み合っていた。普段は冷静な暗闇大使も従兄弟に対してはその感情を露わにしていた。
「だがそれはどうでもいいことだ」
 大佐は言った。
「今はダブルライダーを倒さなくてな。そしてどういう怪人達を向けるつもりなのだ」
「フン」
 ブラック将軍は一瞬口の右端を歪めた。そして答えた。
「既に何体かここに連れて来ている」
「流石だな。動きが速い」
 大佐はそれを聞いて表情を変えることなく言った。
「ではその怪人達を見せてもらおうか」
「うむ」
 ブラック将軍は右手をゆっくりと上げた。すると後ろのドアが左右に開いた。
「ほお」
 ゾル大佐はその怪人達を見て思わず声を漏らした。
「これでどうだ」
 ブラック将軍は怪人達に顔を向けたあとゾル大佐の方に顔を戻して問うた。
「これなら期待できるな。例えあの二人だとしても。それにこの怪人達でも駄目な時は」
「その時は決まっている」
 ここで将軍は目を光らせた。
「我々が出るだけだ」
「うむ」
 こうして二人の会談は終わった。ロンドンの白い霧が赤黒くなろうとしていた。

 霧の都ロンドン。イギリスの栄枯盛衰と共にあったこの街にかって一人の魔物が君臨していた。
 切り裂きジャック。ロンドンっ子なら誰でも
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