霧の中の断頭台
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調整するにはいい機会だとさえ言う者もいた。それでいて麦は収めさせた。彼等に麦を食べさせようとは微塵にも思わなかった。
結果多くの者が餓死した。人口の半分がアメリカへ移った。アメリカで大きな勢力を持つアイルランド系アメリカ人はその前からいたがこれにより大きな発言力を持つようになった。
強いアメリカを主張したロナルド=レーガンはアイルランド系である。一代の梟雄リチャード=ニクソンも彼と争った若き大統領ケネディもである。そしてビル=クリントンも。アイルランド系には独特の名がある。姓の頭に『マク』や『オー』がつくことが多いのだ。マックイーンやオーウェン等がそれである。なお進駐軍の司令官であったマッカーサーはケルト系であるがスコットランドをルーツに持つ。彼は自分のルーツに非常に誇りを持っていたという。傲岸不遜であり気位の高い男であったがその反面人種差別はしない人物であった。
そうしたこともありアイルランド人達も立ち上がるようになる。アイルランド問題は次第にイギリスの闇として人々に知られるようになる。
そして自由党のグラッドストン等を中心にアイルランド問題の解決が計られるようになる。アイルランド土地法等が成立し一次大戦前にはアイルランド自治法が成立する。そして一次大戦後独立運動を経て遂に独立を達成した。
だがここでまた問題が生じた。北アイルランドである。
この地域はアイルランドの中では比較的豊かでありイングランドから移住する者が多かった。その為イギリスに残ったのである。
だがイングランド系、言い替えるならば新教徒の割合が六割である。旧教徒、アイルランド系が四割だ。この割合が問題となる。
その四割の中の過激派が問題を起こす。北アイルランドの独立及びアイルランドとの合流を主張し武装したのだ。そしてイギリス各地、とりわけ首都ロンドンでテロを起こす。これがIRAである。
今ではこうした組織の常として内部で対立があり複雑に分裂している。そしてアイルランドの政治家にも彼等と関係がある者もいるという。日本赤軍や核マル派と関係があると噂される自称人権派の政治家が我が国にいるが彼等とはまた違う。だが民族主義とはいえテロは悪である。その為彼等の行動は許されるものではない。
「やはりあの二人は鋭いな。その程度は見破っていたか」
ゾル大佐は一文字隼人と日本で死闘を繰り広げた。その為彼等、そう本郷猛のこともよく知っているのだ。
「どうしますか?」
戦闘員は彼に尋ねた。
「そうだな」
ゾル大佐はそれを聞き考え込んだ。暫くして顔を上げた。
「ブラック将軍と連絡をとれ」
「ハッ」
ブラック将軍もイギリスにいた。ただし作戦は別である。
「相手が相手だ。ここは奴とも話し合わなければな」
作戦が違うといっても、である。そう言っている状況では
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