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仮面ライダーZX 〜十人の光の戦士達〜
霧の中の断頭台
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だ。生きては出られないと言われた死の監獄である。
 だが彼女は助かった。そうして彼女は幼い頃より幾度もそうした惨事を目にしてきたのだ。
 そのせいか彼女は死刑を好まなかった。最後の最後までメアリーの死刑にサインをするのをためらった。そして彼女を見棄てたメアリーの息子であるスコットランド王を軽蔑した。
 しかし彼は後にイングランド王にもなる。このことからもわかるとおりイングランドとスコットランドは元々は別々の国であったのである。
 それはアイルランドもそうである。度々イングランドの侵攻を受けていながらもである。
 エリザベス一世の時代には総督府が置かれていたがその統治は上手くはいってはいなかった。元々カトリックの多い国であり統治には困難が伴っていた。
 だが清教徒革命の時に事態は急変する。国王と協力関係にあると思われたアイルランドはクロムウェルの侵略を受けたのである。
 オリバー=クロムウェル。狂信的な男であった。彼は熱烈な清教徒であり強烈なカリスマ性を持っていたが他人に対する寛容さのない男であった。
 彼の統治は極めて厳格なものであった。そこには妥協は微塵もなかった。生活のことまで厳しく規制され人々は閉口したものである。清教徒に対してもそうなのだから旧教徒に対しては言うまでもなかった。
『アイルランド植民地法』を制定した。そしてアイルランド全土をイギリスのものとした。アイルランド人は小作人となってしまい
イングランド人との差は歴然となった。日本の台湾や韓半島の統治などという甘いものではない。当然大学を建てたり文化を保護したりインフラを整備したりといったことはしない。植民地だったのである。彼にとって旧教徒は敵であったのだ。これがアイルランド問題のはじまりである。
 それからアイルランド人はイギリスとしてその歴史を歩む。ユニオン=ジャックがある。イギリスの国旗であるがこれは四つの国の国旗を合わせたものである。そこには当然アイルランドもある。ちなみにワーテルローでナポレオンを破ったウェリントンはアイルランド出身である。また作家のオスカー=ワイルドもそうである。
 彼等が活躍した十九世紀は大英帝国の極盛期であった。だがこの時アイルランドを悲劇が襲った。
 当時アイルランドの小作人達はジャガイモを食べていた。麦は食べていなかった。全てイギリスの地主達にとられていた。これが搾取というものである。
 そう、ジャガイモである。彼等の命はこのジャガイモが支えていた。
 だがそれがなくなったら。結果は目に見えている。そしてそれは起こった。
 ジャガイモに病気が流行ったのである。次々と枯れていった。アイルランド最大の悲劇とも言われる『ジャガイモ飢饉』である。
 これに対しイギリス政府は何も手を打たなかった。それどころかアイルランドの多過ぎる人口を
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