霧の中の断頭台
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去るのが」
「そうだ、その為に俺達はいるんだからな」
望んだことではなかった。彼等はショッカーに捕われ改造手術を施行されたのだ。そして洗脳される直前に逃れた。それからである。悪と戦い続けているのは。
彼等もまた騎士である。だがその持つものはあまりにも哀しく孤独なものである。しかし彼等はそれをおもてに出すことなく戦い続けている。
「そうか、あの二人が来たか」
ロンドン郊外の地下にある基地でゾル大佐は戦闘員からの報告を受けていた。
「やはり気付いたか。IRAに偽装したつもりだったが」
IRAとはアイルランド解放戦線のことである。彼等の存在は根が深い。
イギリスの正式名称はグレートブリテン及び北部アイルランド連合王国という。かってはイングランド、スコットランド、ウェールズ、そしてアイルランドに別れそれぞれ別の国であった。とりわけイングランドとスコットランドは国力が高かった。
マクベスはスコットランドの史実での出来事でありその頃からイングランドとは抗争があった。シェークスピアの時代には二人の女王が争った。スコットランドの女王メアリー=スチュワートとイングランドの女王エリザベス一世である。
よくこの時代はイギリスの黄金時代の一つと言われるが実際はそうではなかった。まだイギリスはイングランドでしかなく内政にも外交にも多くの問題を抱えていた。内部では慢性的な財政難であり旧教と新教の対立が激しかった。外部にはフランスやスペインといった強敵が存在した。実際にはイングランド、チューダー家はハプスブルク家の神聖ローマ及びスペインやヴァロワ家のフランスと比べると大きく見劣りしていた。
そうした中でこの二人の女王は争っていた。エリザベスはメアリーを軟禁状態に置いたが中々判断を下せなかった。周りの者はしきりに死刑を勧めるが彼女は首を縦に振らなかった。
エリザベス一世を評して冷酷という人も多い。だがこれも間違いである。彼女は父ヘンリー八世に母アン=ブーリンを殺されている。ヘンリー八世は好色であり多くの愛人がいた。そして妻さえも邪魔だと見ればすぐに殺すような非情な男だったのである。
腹違いの姉メアリは狂信的なカトリックであった。その為多くの新教徒達を火刑台に送っている。その凄まじさは夫であったスペイン王太子フェリペ二世が窘める程であった。
よく歴史というものは誤解される。エリザベス一世もそうであるがこのフェリペ二世もよく誤解されている。確かに彼はカトリックの擁護者ハプスブルク家の者で熱心な教徒であったが理性的な人物であった。国王は国家の第一の下僕として考えその生活も質素であった。そして過度な弾圧は決して好まなかったのだ。
そうした姉に彼女も目をつけられていた。そしてロンドン塔へ送られたこともある。ロンドン塔、かって彼女の母もここで死ん
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