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仮面ライダーZX 〜十人の光の戦士達〜
知の戦士
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いね」
 男はそれを聞いてふと目を広げた。
「日本人ってのはあまり羊は好きじゃないから。匂いが駄目だそうだが」
「まあ独特の匂いですね」
 結城はそれを聞いて言った。肉食文化が入って日が浅いせいか日本人は羊に馴染みが薄い。そして匂いが駄目だという人が多い。思えば残念なことである。
「わしにとっちゃあ魚の匂いのほうが駄目なんだが。まあ人の好みってやつがあるからな」
「俺はあの匂いがたまらないんですけれどね。じゃあ早速いただけますか?」
「おお、ちょっと待ってな」
 彼はそう言うと店の奥に入った。そしてサラダの山を持って来た。
「まずはこれでも食って腹を落ち着かせてくれ」
「はい」
 レタスと豆、そしてトマトのサラダである。キーウィも入っている。
 それを食べていると男はカウンターのところで肉を焼いていた。その音と香りが二人の席の方にまでやってくる。
「いい匂いですね」
「ああ、焼きあがるのが楽しみだ」
 やがて肉が運ばれてきた。マトンのステーキだ。かなり分厚い。
「お待ちどうさん、腹一杯食ってくれ」
 男は二人の前にそのステーキを置いた。二人は早速ナイフを入れて口に含んだ。
「お、美味いや」
 まず城が言った。
「本当だ、柔らかいし。かなり上等の肉だな」
 結城も同じだった。二人はソースもかけずに塩と胡椒の味付けもままその肉を味わっている。
「美味いだろう、何せこの村の羊だからな」
 男はニンマリと笑って言った。どうやら美味しいと言われたのが余程嬉しいらしい。
「この村の羊は特別でな、毛もたっぷりととれるし肉も最高なんだ。何しろいつも賞をとっている位だからな」
「羊毛もですか」
「そうだ、他のとこの羊の毛と比べても全然違うぜ」
 彼は益々機嫌をよくした。
「わしも今までオーストラリア中を歩き回ってきたがここの羊に勝ってるのは見たことがない。それ程ここの羊は素晴らしいのさ」
 かなり羊に思いいれがあるようだ。彼の機嫌はさらによくなっていく。
「今日は気分もいい。どんどん焼いてやるよ」
「えっ、本当ですか!?」
「ああ、オーストラリアの男ってのは気前がいいんだ、それをたっぷりと教えてやるよ」
 そう言うとカウンターに戻った。
「ビールもたんまりあるぜ。良かったら飲んでくれ」
「はい!」
 こうして二人は羊とビールを心ゆくまで堪能した。そして店を後にした。
「お金も安かったですね」
「そうだな、あれだけ食べてあの程度ですむとは思わなかったよ」
 二人はビールで赤くなった顔を向け合いながら話した。息もビール臭い。
「オーストラリアってのは食べ物は安いと聞いていたけれどこれ程とは思いませんでしたね」
「ああ、何か得した気分だ。ところで今バイクの乗るのはまずいな」
「ええ。流石に」
 城
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