港町の毒蛇
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ゼクロスの所在、それはバダンがその総力を挙げて捜しているものであった。皆血眼になりその影を追う。
だがそれは何処にもなかった。次第に焦りが生じだしていた。
「まだ見つけられないのかい!?」
ヘビ女も彼を捜していた。
「はい、残念だがら・・・・・・」
戦闘員達は申し訳なさそうに頭を垂れた。
「そうかい、本当に隠れるのが上手い奴だね」
彼女は忌々しげにそう吐き捨てた。
「このままではシャドウ様に合わせる顔がないよ、折角啖呵切ったんだしね」
彼女はゼネラルシャドウにゼクロスを捜し出しその首を献上すると言ったのだ。
「日本にいないのは確かなんだ。だけど世界中を捜し回るのも馬鹿なことだしね」
彼女は地球儀を回しながら呟いた。
「こうなったら誘き出してやろうか」
「あの男をですか!?」
「そうだよ。例えばね」
ヘビ女はここで残忍な笑みを浮かべた。
「あの男の大切な人を人質にするとかねえ」
それはまさに悪魔の笑みであった。地球儀を弄ぶその顔が嫌らしく歪んだ。
「それでしたら最適の人物がおりますが」
「あの男の姉は死んでいるよ」
「村雨しずかではありません。一条ルミです」
「一条ルミ!?あの小娘かい」
ヘビ女も彼女のことは少し知っていた。
「しかしあの娘も今何処にいるかわからないよ」
「日本にいたという情報がありましたが」
「何時の情報だい、もうとっくの昔に何処かに消えちまったよ」
「そうだったのですか」
戦闘員はヘビ女の言葉にうなだれた。
「今は地道に捜すことだな。もっとも連中はあたし達の影を見たら自分達から出向いて来てくれるけれど」
ヘビ女はそう言ったところでハッとした。
「待てよ」
彼女は再び嫌らしい笑みを浮かべた。
「何も捜し出すことはないよ。ちょいと目立つことをしてやるだけでいいんだよ」
「といいますと」
「わからないのかい、鈍いねえ」
「すいません」
「まあいいさ。今から教えてやるよ」
ヘビ女は戦闘員達に対して話しはじめた。
「どうだい、いい考えだろう」
彼女は話し終えると戦闘員達を見た。
「はい、それが一番だと思います」
「御前達もそう思うかい。じゃあ早速はじめるとしよう」
彼等は闇の中に消えた。そしてその中で無気味な蛇の鳴き声が聞こえてきた。
村雨良はシアトルにいた。アメリカの北西部にある港町だ。
ここは日本人にもよく知られた街である。理由はとあるスポーツ選手のせいなのであるが。
それを抜いてもこの街は日本と関係が深い。ボーイング社の拠点でもあるこの街は日本と盛んに貿易を行なっているのである。
「良さんはシアトルははじめて!?」
「うん、話には聞いていたけれど」
その街を行く人組の男女がいた。
男女といってもまるで兄
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