港町の毒蛇
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向けて忌々しげに言った。
「そうだ、俺の能力を忘れていたな。俺は自身の幻影を作り出すことができる」
「フン、何で鬱陶しい奴だろね」
「そしてこういった術も使える」
彼はそう言うと左右に分身した。五体のゼクロスが姿を現わした。
「行くぞ」
そして彼等はヘビ女を取り囲んだ。
「ヌウウ・・・・・・」
五体のゼクロスが彼女を包囲する。そして身構えた。
「一つは本物、あとは全部偽者かい」
彼女はゼクロス達を凝視して言った。
「見たところ全部本物に見えるけれどね」
どれも影まである。厄介なことに。
「だけどこうしてやりゃあすぐにでもわかるね」
そう言うと鞭を繰り出した。そして五人のうちの一人を打つ。
消えた。どうやら偽者だったらしい。
「さあ、本物はそれだい!?」
そして鞭を手当たり次第に振り回した。忽ちゼクロス達が打ち据えられる。
だが途中で鞭が切られた。どうやら手裏剣を使ったらしい。
「そこかい!」
ヘビ女はそこに左手を向けた。それは蛇の頭である。
蛇の牙がゼクロスを襲う。そしてその喉に喰らいついた。
かに見えた。だがそれもまた幻影であった。
「チッ・・・・・・」
ヘビ女は舌打ちした。全てが幻影だったのだ。
「どうやらあたしを相当舐めてくれているね」
ゼクロスは少し離れた場所に立っていた。そしてそこから手裏剣を投げていたのだ。
「それは違うな」
ゼクロスはいきり立つ彼女に対して言った。
「俺は貴様の力をよくわかっているつもりだ。だからこそこうして術を使うのだ」
「へえ、そりゃ有り難いねえ」
「俺は勝つ為に最も有効な戦い方をとる。それだけだ」
彼の口調はあくまで機械的であった。そこに感情はない。
突進した。そして拳を出す。
「甘いね」
しかしそれはヘビ女の左の蛇により防がれた。
「今度はあたしの番だよ」
そしてその蛇で食い殺さんとする。
ゼクロスはそれをかわした。そして蹴りを入れた。
「ガハッ」
蹴りはヘビ女の腹に入った。彼女は思わず怯んだ。
そこへ拳がきた。顎を打たれのけぞる。
「よし、今だ」
彼は間合いを離すと大きく跳んだ。
「ゼクロス・・・・・・」
その全身が赤く光った。
「キィーーーーーック!」
その赤い光が炎のようになった。そしてヘビ女の胸を撃った。
後ろに跳ね返り着地する。目の前ではヘビ女が片膝をついていた。
「フン、見事なもんだねえ」
ヘビ女はゼクロスに顔を向けて呻くように言った。
「このあたしをここまで倒してくれたのはこれで二人目だよ」
「そうか」
彼はまだ油断せずに身構えている。
「あたしはこれでお終いだよ。幾ら何でもここまでダメージを受けてしまってはね」
そう言うと最後の力を振り絞り
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