港町の毒蛇
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ャドウの気持ちが落ち着いたのを見計らい声をかけた。
「今後どうするつもりだ」
「今後か」
二人は酔ってはいなかった。だがシャドウは酒により気を鎮めていた。
「まずはストロンガーを倒す。そして」
「そして!?」
「あの男を倒す。そして仇をとる」
「そうか」
見ればその眼は燃えていた。復讐を誓う激しい炎で燃えていた。
「さて、とルミちゃんも無事だったみたいだな」
村雨は戦いを終えルミと共に再び野球観戦を楽しんでいた。
「ええ、良さんのおかげで」
ルミはそれに対して笑顔で答えた。
「そうか、無事で何よりだよ」
彼はそれを聞いて笑った。にこやかで優しい笑顔である。
「・・・・・・・・・」
ルミはその笑顔を見て自身も笑った。
「どうしたんだい!?」
村雨はルミが笑顔を見せたのを不思議に思った。
「イチローがまた打ったの?」
違った。今はマリナーズの守りの時である。イチローはライトを守っていた。
ライトに打球が飛んだ。イチローはそれを素早い動きでキャッチした。
三塁にいたランナーがそれを見て走った。イチローがホームへ向けて矢の様な送球を返した。
速い。そして正確であった。キャッチャーのミットに寸分の狂いもなくボールは収まりホームに突入を敢行したランナーは憤死した。
「肩も相変わらずだな」
彼はそれを見て感嘆の声を漏らした。
顔を戻す。見ればルミはやはり笑っていた。
「イチローのプレイに微笑んだんだね」
「違いますよ」
ルミはそんな村雨に対しやはり微笑んで答えた。
「良さんに笑ったんですよ」
「俺に!?」
村雨はそれを聞いて大いに驚いた。
「俺の顔に何かついてるかな」
そして両手で慌てて顔をさすったり軽く叩いたりした。
「だから違うんです」
ルミはそんな彼の様子がおかしくてたまらなかった。だがそれに対して笑ったのでは当然なかった。
「良さんって自分のことはあまりわかってないんですね」
「そ、そうかな」
彼はそれを聞いて今度は狼狽した。不思議な程狼狽している。
「けれどいいですよ。そうしたところも良さんの持ち味ですから」
「それはあまり嬉しい言葉じゃないなあ」
彼は不満そうであった。
「どうしてですか?」
「だってほら、何か馬鹿にされているみたいで」
「馬鹿になんかしていませんよ」
「本当に!?」
彼は顔を少し尖らせて尋ねた。
「ええ。むしろ良さんの別の一面が見られましたし。見直しているんですよ」
「そうかなあ。俺にはそうは思えないけれど」
今度は首を傾げた。やはり彼にはよくわかっていないようである。
試合観戦後二人はシアトルを後にすることにした。そして次の戦場へ旅立つ為に空港へ向かった。
「行こうか」
「はい」
こう
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