麗わしの島の戦い
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バリ島、インドネシアにあるこの島は独特の文化を持っていることで知られている。
インドネシアは一億五千万以上の人口を持つ東南アジア最大の国であるが同時に多様な文化も併せ持っている。スカルノやスハルトといった強権政治家達もそのことはよく認識しその文化を保護してきた。否、それを否定してはインドネシアという国は成り立たないのである。
そうした難しい国であり民族問題も抱えている。東ティモールはその最たるものであったが他にも色々と民族問題はある。だが国民は全体的におおらかで平和を愛している。そして外交にも長けておりアメリカや中国、日本といった大国にも臆するところはない。
この国で最も勢力の強い宗教はイスラム教である。だがアラブのイスラムとはいささか違う。
「ここの人達は思ったよりおおらかですね」
沖一也はバリの街中を歩きながら隣にいる城茂に言った。
「確かにな。俺もアラブは行ったことがあるけれどこことは比較にならない位厳しかったぞ」
城はインドネシアの雰囲気に驚きながら言った。
「リビアなんかは凄かったな。もう何から何まで怒られっぱなしだった。街の爺さんの厳しいこと厳しいこと」
「まあ城さんでしたらそうでしょうね」
「おい、そりゃあどういう意味だ」
彼はその言葉に対し口を尖らせた。
「いえ、ただ普通に思っただけで」
「確かに俺は堅苦しいことも決まりごとも好きじゃないが」
「それがまずいんじゃないですか?」
「最後まで聞け。だからといって現地の習慣を破ったりはしないぞ」
「滝さんが言ってましたよ。牛肉が食べたいと盛んに言ってったって」
「イスラムは牛肉は食べてはいいんだぞ。それに豚肉も傷みやすいから食べないんだ」
「そうだったんですか」
「そうだ、イスラム教ってのは案外現実的でよく考えられた宗教なんだ」
その通りである。例えば犬の唾を不浄としているのは狂犬病を恐れてのことである。実際には酒を飲む人も多かったりする。酒に関しては時代により解釈が異なる。当然人によっても。トルコの国父ケマル=アタチュルクは酒好きとして有名であった。
「それはわかっているつもりですが」
「だからアラブと東南アジアでは変わるものさ。マレーシアでもシンガポールでもムスリムは多いけれどアラブのそれとは雰囲気が全く違うし」
「そういえばここには占い師も多いですね」
イスラムは建前上占いはするなという。だが実際にはイスラムにおいて占いはかなりの発展を遂げている。ちなみにキリスト教では異端とされ徹底的に弾圧された錬金術はイスラムにおいては奨励されそれが科学の発展に繋がっている。
「これもインドネシアの特色かな。確かに他のアラブ諸国に比べると多いな」
「ですね。まあここはバリ島ですが」
バリ島はヒンズー教の勢力圏である。
「しかしムス
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