宮殿の人狼
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ゼネラルモンスターはその時シリアゴラン高原にいた。
この地はイスラエルとシリアの激戦地であった。この地を巡りシオンの民と『シリアの獅子』と謳われたアサドは死闘を繰り返した。
いまだにこの地は緊張がくすぶっている。停戦を監視する為国連からPKOが派遣されている。この中には我が国の自衛隊も含まれている。
「あの者達までいるとはな」
彼は眼下でせっせと働く青いベレー帽の者達を見ながら呟いた。
「どうした、何か思い入れでもあるのか」
そこに誰かがやって来た。
「お主か」
それはゾル大佐であった。
「俺もお主もこの地には何かと縁があるからな。あの者達もいることだし」
大佐はそう言うと右手に持つ鞭で高原の遠くを指差した。
自衛官達とは反対側のその場所にはイスラエル軍がいた。独特の形をした戦車が走り回っている。
「今はあの連中にこれといった感情はないが」
二人はかってナチスの将校であった。戦犯として追われたこともある。
「中東にいた時はあの連中とも渡り合ったな」
「うむ」
ゾル大佐はショッカーで、ゼネラルモンスターはネオショッカーでそれぞれ中近東支部長を務めていた。そしてこの地で数多くの功績をあげている。
「モサドの者達をよく返り討ちにしたものよ」
「私はむしろ原理主義者達との戦いが多かったがな」
大佐とゼネラルモンスターは口に笑みを浮かべて語り合っている。彼等にとっては誇らしい戦績なのである。
「残念だが俺はイギリスに向かう。後のことは頼んだぞ」
ゾル大佐は言った。
「うむ、任せておけ」
ゼネラルモンスターはそれに対して頷いた。
「この中東は私が戦乱の渦に落としてやる」
「フフフ、期待しているぞ」
大佐は満面に笑みをたたえた。まるで血に餓えた肉食獣の様な笑みである。
「ところでだ」
大佐はここで表情を戻した。
「魔神提督の話は聞いているな」
「ああ」
ゼネラルモンスターは答えた。
「タイで仮面ライダースーパー1に敗れたらしいな」
「うむ、タイでの基地建設は失敗に終わった。シンガポールに続きあの場所での基地建設は再び失敗した」
「そうか」
ゼネラルモンスターはそれを聞き目に何かを宿らせた。
「あの男も死んだか。長い因縁があったが」
彼と魔神提督はネオショッカーで宿敵関係にあったのだ。
「借りを返すことは出来なかったか」
「だがお主には一人倒さねばならん男がいる」
「わかっている」
ゼネラルモンスターはゾル大佐のその言葉に頷いた。
「それは俺にも言えることだがな」
「お主はどちらを倒すつもりだ」
「それは決まっている、と言いたいところだが」
ゾル大佐はここで言葉を切った。
「両方倒さねばならん。どちらを倒すという問題ではない」
「そうか」
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