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仮面ライダーZX 〜十人の光の戦士達〜
宮殿の人狼
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れた英雄の一人だ」
 彼の声は誇らしげなものであった。
「そうですな、我々は今またパリを攻めようとしております」
「今度はあの時の比ではないぞ。何しろ何百万の人間共の血が流れるのだからな」
「はい、真に楽しみです」
「フム、何百万の人間共の血か」
 そこで誰かの声がした。
「貴様か」
 オオカミ長官は声がした方に顔を向けた。
「うむ、折角だから観戦に来てやったのだ」
 指令室の中に火の玉が現われた。その中から百目タイタンが現われた。
「久し振りだな」
「ウム、お互い元気そうで何よりだ」
 両者は心にない挨拶をした。
「パリを血で覆うと言ったが」
「今からな」
「そうか。美しいこの街が紅く彩られるか」
 タイタンはその無数の眼でモニターに映る市街を眺めながら言った。
「実に楽しみなことだ。しかし」
 タイタンはここで言葉をつけ加えた。
「俺の好みとしては全てを焼き尽くすのだがな」
「そして人間共が炎の中で苦しむのを楽しむということか」
「そういうことだ。やはり赤といえば炎だからな」
「それは貴様の好みだがな」
 オオカミ長官は言葉に僅かの皮肉を込めて言った。
「俺は血で染める。狼にとって血は月と同じく力の源だ」
「そうか。月はないがな」
「月は切り札だ」
 彼は言った。
「ライダーを倒すのは月の下でだ。その時まで俺は動かん」
「それまでは他の怪人達に任せるのか」
「そういうことだ」
「成程な」
 彼は何かを言葉の中に含んでいた。
「どちらにしろ今はここにいさせてもらうとするか。貴様の戦いぶりをとくと見せてもらおう」
「何なら席を用意しておくが」
「いい。立っているのも気分がいい」
「そうか」
 タイタンは懐から葉巻を取り出した。そして指から火を出しそれを点ける。
「俺はこれさえあれば他には何もいらんしな」
「その嗜好も相変わらずだな」
「美味いぞ。一本どうだ?」
「俺はいい」
「そうか」
 そこで指令室のシャッターが開いた。そこから怪人達が入って来た。
「来たか」
 数体の怪人達が中に入る。そしてオオカミ長官に敬礼した。
「よく来てくれた」
 彼は怪人達に対して言った。
「かねてからの計画通り頼むぞ、いいな」
 怪人達は無言で頷いた。
「ならば行くがいい。そしてパリを血の海に変えるのだ」
 怪人達は敬礼し指令室を後にした。そこにいた戦闘員達のうち数人がそれに続く。
「おれも用意をしておくか」
 オオカミ長官もそう言うと指令室を後にしようとする。
「何処へ行くつもりだ?」
 タイタンは彼に対して問うた。
「ライダーを倒すのに相応しい場所だ」
 彼は不敵な声でこそう答えた。
「そうか」
 タイタンは深く尋ねようとしなかった。
「では俺はここでず
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