宮殿の人狼
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の話だがな」
「作戦!?」
「いずれわかることだ」
オオカミ長官はそれに対して言葉を返した。
「このパリで死ぬか俺に倒されるか。どのみち貴様はフランスを墓場とすることになる」
「そうはさせんっ!」
「そうやって強気でいられるのも今のうちだな」
彼は余裕の声で反論した。
「教会にでも行っておけ。この世に別れを告げる為にな」
彼はそう言うと姿を消した。
「偉大なる狼男の恐ろしさを味わいながらな」
オオカミ長官の気配が消えた。ライダーは変身を解きそれを見守っていた。
「倒れるのはオオカミ長官、貴様の方だ」
本郷は毅然とした声で言った。その目には強い光が宿っていた。
「フフフフフ、それでは作戦の最終準備をはじめるとするか」
基地に戻ったオオカミ長官は指令室に入ると部下達の敬礼を受けながら言った。
「怪人達の準備はいいか」
「ハッ、既に長官のご指示を待つだけです」
戦闘員の一人が敬礼して答えた。
「そうか。すぐに全員指令室に呼べ」
「わかりました」
彼はそれに従いマイクの前に向かった。そして怪人達を呼び寄せた。
「花の都か」
彼はモニターに映るパリ市内を見ながら言った。
「もうすぐこの街が血により美しく塗られることになる」
「あの時のようにですな」
ここで戦闘員の一人が言った。
「あの時といっても色々あるがな」
オオカミ長官は機嫌がよかった。彼は戦闘員の言葉に対し上機嫌で返した。
「サン=バルテルミーの時もそうだった」
ヴァロア朝末期新教と旧教の対立が引き金となった。事件である。彼等の対立が遂に爆発し旧教徒達が新教徒達を虐殺した事件である。
「フランス革命の時も」
この時はフランス全土が血に覆われた。百万人以上が死んだと言われる。とりわけジャコバン派の粛清は酸鼻を極めた。狂信的な彼等により銃弾、そしてギロチンの前に死した者は数えられない。
「コミューンやその他の革命騒ぎもあったな。この街はその外観とは異なり血により塗られた街なのだ」
それは歴史がよく物語っていた。パリもまた人間達の血生臭い抗争の舞台の一つであったのだ。
「だがその中で俺が最も気に入っている話は」
オオカミ長官の目が喜びに満ちる。
「クルトーに攻められた時だな」
クルトーとはかって冬のパリを何年にも渡って脅かした巨大な魔王である。彼は人ではなく狼であった。その群れを率いパリを攻めていたのだ。
「一人の騎士と相討ちになったというがそれまでこの街を血と恐怖で覆い尽したのだ。人間共をその牙で支配したのだ」
「誇り高い話ですな」
クルトーの正体は普通の狼ではなかった。彼は魔界より抜け出てきた魔性の者だったのだ。言わばオオカミ長官の眷属である。
「そうだ。誇りある我等狼男の一族の中でも特に知ら
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