宮殿の人狼
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「各個撃破。まあ奴の策はこれだけではないと思うが」
彼は姿を消した。ライダーはそれには気付かずマシンで次の戦場に向かっていた。
バスチーユ広場。かってはここに監獄がった。
バスチーユ監獄。絶対王政の象徴と言われた要塞でもあった。
この牢獄は最初は百年戦争の時に宮殿を守る為の砦であった。だが時代が経るにつれ牢獄としても使われた。これはよくあることであった。ローマの聖天使城等もそうである。
ここには主に政治犯が収容された。サディズムの語源となったマルキ=ド=サド侯爵もここにいた。生きては帰れぬというのは誤りで貴族が収容されることが多かったせいでもあるが囚人の待遇は悪くはなかった。だが発禁処分を受けた本やサド侯爵の様な思想的に快く思われていない人物が入れられていた為専制政治の象徴とされていたのだ。
革命当時は囚人は数える程しかいなかった。だがその巨大な壁と大砲を誇示している為パリ市民を威圧していた。
革命における襲撃の話はよく劇的に言われ芸術作品に使われるが実像は違う。政治犯の釈放よりも大砲を退けて欲しかったのだ。
当時のこの監獄の責任者は事態を重くは考えていなかった。最初に話を持って来られた時はもう夜遅いから明日にしてくれと言った。
朝になった。会談の要請が市民側から来た時彼は朝食を摂っていた。食事中だから後にしてくれと言った。彼は別に市民達を敵と思っていなかったし彼等が攻めて来ているとも思っていなかった。実際にそうであった。
そして朝食が終わった。彼は市民側の代表と会った。まあお茶でも飲みながら、ということで穏やかに会談の席に着いた。
代表から話を聞いた時彼はそんなことか、と思った。大砲をどけること位何でもなかった。既にバスチーユは少数の罪人しかなく大砲も旧式なものである。彼は快諾し大砲をしまうように命令した。彼はこんな些細なことで二日越しになるというのもおかしなことだと思った。
だが大砲がしまわれる時市民達はその真下にいたのだ。大砲が後ろに退くのは砲撃する前に砲弾を詰める時である。市民達の誰かが騒ぎだした。
「砲撃して来るぞ!」
それが決め手であった。恐慌状態に陥った市民達は監獄の中に突撃した。そして監獄は陥落し責任者は虐殺されその首は晒しものとなった。これがフランス革命の導火線となるのである。元々は寒波による食糧危機にはじまった革命であるがその実像からは遥かにかけ離れて美化されそして多くの血を流している。
今その監獄はない。広場になり七月革命の記念碑が置かれている。
そこに怪人達がいた。逃げ惑う市民達に襲い掛かっている。
「殺せ、殺せっ!」
その中央にいる怪人が指示を出している。ジンドグマの石鹸怪人シャボヌルンである。
「ここにいる人間共は皆殺しだ、それこそがこのバスチーユに相応し
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