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仮面ライダーZX 〜十人の光の戦士達〜
古都の鬼神
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党員はよく『私は生涯どの宗教も信じなかった』と言った。彼等は宗教を信じてはいなかったのだ。その替わりがナチスの教義であった。
 これを果たして教義と呼んでいいのだろうか。ソ連のそれと同じく自らを絶対的な正義とし他者は悪と定義し抹殺していく。彼等はユダヤ人や資本家だけを殺すのではない。知識人も貴族も宗教家もポーランド人もロマニーもロシア人も殺した。そしてあらゆるものを消した。二十世紀を支配した狂ったイデオロギー、それは全体主義であった。いまだに人類はその狂った教義に苦しめられている。
 この教義の中心、法皇こそヒトラーであった。彼はこの世のものだけではなく人の心までも完全に支配しようと考えていたのである。これはスターリンも同じであった。やはり彼の私生活も質素で孤独なものであった。
 人の心を司る者は神秘性がなくてはならない、欲を極めた生活を送る者に神秘性など備わらない。彼はそう考え私生活を質素なものにしたと言われている。これは宣伝省であり彼の知恵袋であったゲッペルスの提案もあったというが他にも副総統のヘスの意見もあったらしい。
 このヘスもまた私生活はヒトラーのそれと似て質素であった。やはり菜食主義者であった。彼に影響を与えたのはローゼンベルクという怪しげな男であった。彼はオカルトの専門家であったのだ。
 彼はハウスホーファーとも交遊があったという。その縁でヒトラーとハウスホーファーは知り合ったのだ。そして彼の地政学とオカルトはヒトラーに大きな影響を与える。ソ連との戦いのもとになった東方植民はドイツに昔からある東方十字軍の影響もあるが彼の地政学の影響が大きいことは否定できない。彼はヒトラーのオカルトのブレーンの一人ともなっていたのだ。
 彼は前述した通り日本について深い関心を寄せていた。そしてそれは生涯変わることはなかった。ヒトラー、そしてナチスは極端な人種主義で知られているが彼は日本を忘れたことはなかった。そう、最期まで。
 彼はその生涯を自らで幕を降ろしている。ナチスは敗れ彼も裁判にて処刑されることが確実な身分であったのだ。
 ここで彼は実に奇妙な自殺を遂げている。本来ドイツ軍人はプロイセンの慣習に習い自殺には拳銃を使う。ナチスでは多くはカプセルだ。ヒムラーは自殺を蔑視しており部下の親衛隊員達にそれを禁じていたが彼自身もカプセルで自殺しているのはまことに皮肉なものである。ゲーリングも同じくカプセルで自殺している。なおヒトラーは拳銃を使っている。ハウスホーファーは拳銃もカプセルも使わなかった。
 彼は日本刀で割腹自殺を遂げた。切腹である。何と彼はドイツの流儀にもナチスのそれにも従わず切腹したのだ。そして彼はこの世を去った。それを聞いた連合軍の高官達は皆首を傾げたという。何故日本のもので死んだのか、それは誰にもわからなかった。
 ゼネラルモ
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