古都の鬼神
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ょこと読んであとは食い物を包んだりとかに使うものだろう」
もう一人が鶏肉に包丁を入れながら言った。
「まあ何をしていたかとかは聞かないけれどな。ほら、おかわりだ」
麺が飛ぶ。沖はそれを受け止めた。
「有り難う」
そしてそれを食べる。辛いがそれがまた食欲をそそる。
「あんた達のやってることに首を突っ込んだら冗談抜きにこっちの命がいくらあっても足りなさそうだからな。俺達がこれからレストランで大儲けする為にはそんなやばいことには関わらないことが肝心なんだ」
鶏をさばいていく。見れば野菜や魚介類と食材はかなり豊富である。
「だったらモグリの仕事も止めた方がいいだろう」
竜は沖と同じく麺のおかわりを食べながら突っ込みを入れた。
「あっちは命がかかってないからな」
「そうそう、警察も黙認してくれてるし」
「黙認すればいいというものでもないだろうに」
「そうだ、悪いことをしているのだとは思わないのか?」
二人はいささか日本人特有の善悪の判断で二人を嗜めた。だが二人はそれに対して反論した。
「別にな。人を殺したり傷つけたりするわけじゃないし」
「そうそう、それに俺達はこう見えても家族の面倒はちゃんとみて朝からしっかり働いているぜ」
「お坊さんにも礼儀正しくするようにしてるしな」
タイ人と日本人では法律に対する考え方が少し異なっている。法についてタイ人はわりかし柔軟に考える。その反面警官が賄賂を要求したりするのは困りものであるが。
「まあそれはいいさ。こうしたことはあちこちであるし」
沖は彼等に対してこれについて言うことを止めた。
「ご馳走様、美味しかったよ」
二人はそう言って金を置き席を立った。
「有り難う」
兄ちゃん二人はそれに対し笑顔で答えた。こうした微笑みが実にいいのがタイ人のいいところだ。
「あの笑顔見るとまた来たくなりますね」
「はい、それに味もいいですし」
二人はそんな話をしながらその場をあとにした。そしてまたあの場所に向かった。
やはり今は夜のような雰囲気ではない。昼と夜で街は顔を変えるものだがこうした場所は特にそうしたことが顕著である。だが今は趣きが異なる。
「当然といえば当然ですが警官が多いですね」
「はい」
二人は道を行きながら監察していた。昨日の夜の爆発のせいだ。色々と捜査にあたっている。
だからといってあまり店の中には入らない。ただ現場で捜査をしているだけだ。
「ただの警官ではないですね」
見れば軍人も一緒にいる。
「タイ政府も何か掴んでいるのかも」
彼等はそんなことを考えながら道を進んでいた。だがここには手懸かりはなかった。
「引き払ったかな」
「まさか。そう簡単に諦めるような連中じゃありませんよ」
沖はここで考えた。そしてあること
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