草原の赤き花
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進めてきた。
「はい。残念なことに」
]ライダーは自分達の考えが的中したことに苦々しさを覚えていた。彼は変身を解いても渋い顔のままであった。
「そうかい、ジャガーマンとヤッタラダマスは死んでしまったかい」
ドクターケイトはパオの中で戦闘員達の報告を聞いていた。
遊牧民であるモンゴル民族は家を持たない。このパオという羊の皮から作られたテントに似たもので生活しているのだ。
その中は質素なものである。羊を追い草原を進む彼等にとって無駄な財産など不要だからだ。
この生活は何千年も前から変わらない。彼等は長きに渡ってこの草原でこうして生きてきているのだ。
「残念だねえ。しかし死んでしまったものはしょうがないよ」
彼女は口惜しそうに言った。
「今あたし達がしなけりゃならないことはこの草原を死の荒野に変えることだ。]ライダーも大事だがね」
「とするととりあえずは無視しますか」
「そうだね。あの二人でやっつけられなかったからね。ここはあの男に見つからないようにすればいいだけだし」
「愚かだな。神敬介はそれを見過ごす程迂闊な男ではない」
そこで誰かの声がした。
「・・・・・・またあんたかい」
ケイトはその声を聞き顔を顰めた。
「そうだ。仮面ライダー]がここに来ていると聞いたのでな。わざわざギリシアから出向いてきたのだ」
先程の白いスーツの青年である。アポロガイストだ。
「あんたも暇だねえ。あんなところからやって来るなんて」
「俺の望みはあの男との決着をつけること。他には何もない」
彼はドクターケイトの皮肉を聞き流してそう言った。
「そもそも貴様は一度]ライダーに作戦を破られているではないか。よくそれでそんな余裕が言えるな」
「余裕じゃないよ、自信ってやつだ」
ケイトはそう言い返した。
「ほう」
アポロガイストはその言葉に眉を動かしてみせた。
「あたしも誇り高き妖花アルラウネの末裔、この身体にはあらゆる生物を殺せる毒があるんだよ」
「そうだったな。その毒で貴様はこれまで多くの功績をあげてきた」
「知ってるじゃないか。じゃあ文句はないね」
「確かにな。それで炎に強ければどんなに良かったか」
アポロガイストは彼女を挑発するように言った。ケイトの顔色がサッと変わった。
「喧嘩を売ってるのかい!?」
彼女は立ち上がった。そして側に立ててあった杖を手に取りそれを向けた。
「別に。ただ本当のことを言ったまでだが」
アポロガイストは悪びれない。相変わらず彼女を挑発するような口調である。
「グギギ・・・・・・」
ケイトは歯噛みした。だが彼と戦っても何の利もないことはわかっている。無益な戦いをする程彼女は愚かではない。
「フン、まあいいよ」
彼女は杖を収めた。
「それであんたは]
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