第十四話 伊勢巡りその九
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「そう言って今ここにいるのだしな」
「そうよ、だからね」
「滋賀か。何があった」
「琵琶湖ですよ」
天地博士が明るく言う。
「それがあります」
「琵琶湖ねえ」
「鮒寿司か」
「はい、あれは美味しいですよ」
明博士の言葉は明るい。
「癖は強いですけれどね」
「鮒寿司?」
「お寿司なら何処でも食べられるじゃない」
「なあ」
戦隊の面々はこう言うのであった。彼等は寿司についてあまり詳しくはない。
「握り寿司に巻き寿司に」
「散らし寿司ってねえ」
「そういうのがあるから」
「それとはまた違いますよ」
今度は先生が答えてきた。
「馴れ寿司でして」
「馴れ寿司!?」
「何ですかそれ」
「聞いたことないですけれど」
誰も知らなかった。それを言われてもだ。
「そういうお寿司もあるんですか」
「どんなお寿司ですか?それって」
「はい、お魚の中に御飯を入れて何ヶ月も置きます」
そうしたものだというのだ。
「時間がかかるものなんです」
「ズバーーーン」
「ええと、何でズバーンがここで言うのかな」
「何でなの?」
「食べたいと言っているみたいだ」
暁が話した。
「自分も鮒寿司を食べたいと言っている」
「ええと、ロボットなのに?」
「ロボットじゃなくてプレシャスだろ?」
「ああ、そういえばそうか」
「剣だったし」
多くの者が忘れてしまっていた。ズバーンもまたプレシャスなのである。いつも二足スタイルになってそのうえで動いているからだ。
「けれど食べられる?」
「プレシャスだけれど」
「無理なんじゃ」
「ズバーーーーン」
「それでも何とかならないかと言っている」
暁がまた通訳をする。
「是非食べたいとな」
「ううん、こればかりはちょっと」
「そうよね」
「不可能だし」
皆それぞれ話すのだった。
「これは諦めてもらうしかないよね」
「そうだよな、食べることは絶対に無理だし」
「それは」
「そうだな。諦めるしかないな」
暁も腕を組んで述べた。
「やはり」
「ズバーーーン・・・・・・」
「残念だと言っている」
「本当にズバーンの言葉わかるんだ」
皆暁の特殊能力がここでわかった。何とズバーンの言葉がわかるのである。
「そういえばズバーンと仲いいし」
「それでなんだ」
「成程ね」
こんな修行の中でも何処か呑気な調子で伊勢に向かう一行だった。そしてその頃伊勢神宮の前の商店街において。敵の面々が食事を楽しんでいた。
「伊勢うどんもう一杯」
「赤福をくれ」
「いやあ、美味い美味い」
こう言いながらそれぞれ伊勢うどんを何杯もすすりそして赤福を楽しんでいる。彼等は今食べることに夢中だった。もっと言えばそれしか考えていない。
「この真っ黒なだ
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