第十四話 伊勢巡りその八
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「それでいいわね」
「はい、じゃあ」
「御願いします」
「まずは身体を整えてからなんですね」
「怪我をしては何にもならないからね」
だからだとも話す。ミシェルの言うことはまさに正論であった。
そしてであった。まずはミシェルの診察を受けた。その結果は。
「流石ね。皆健康よ」
「まあそうだろうな」
「私達だって伊達に戦っているわけじゃないし」
「流石にこの程度でどうなっていたらな」
「お話にならないし」
「じゃあ」
こうしてであった。全員で高野山から伊勢神宮まで歩いて向かうことになった。尚これには御館様や爺、ボンバーに先生といった面々も一緒である。
そしてである。この二人も一緒であった。
「いやあ、伊勢まで歩いていくとは」
「大変ですね」
天知博士とお魚博士も一緒であった。二人は能天気な顔である。
「けれどそれも修行ですから」
「やらなければなりませんね」
「けれど物凄い距離よね」
笑見はこのことに困った顔になっていた。
「私ちゃんと最後までいけるかしら」
「ははは、心配いりませんよ」
介さんもいた。この人は笑顔である。
「それも全くです」
「全くなの?」
「はい、これまでの長い戦いのことを思えばです」
介さんは言うのだった。その飄々とした顔と動きには人生があった。
「この程度はどうとでもありませんよ」
「そうですね。私達も長い戦いを経てきました」
先生は登山姿である。皆険しい山を越えていく。山道を少しずつ踏破していく。木々が生い茂り鬱蒼としているがそれを恐れる者はいなかった。
「それを思えばですね」
「そうじゃな。何、ジャカンジャとの一年に渡る戦いを思えば」
「何でもあらへんな」
館長に対してまひるが応えた。
「これ位はな」
「この戦いも随分激しいがのう」
「激しいけれど何か随分間が抜けてないかしら」
よりによってテトムが言った。目を少し上にやりながら。
「今度の戦いって」
「酷過ぎるものがねえか?」
「敵は何も考えていないでございますよ」
スモーキーはランプの中に入って飛んでいる。マンドラゴラは鉢の中に留まったままだ。そのうえで皆の周りや上を飛びながら話すのだった。
「そんなことは」
「だよな、神戸から伊勢まで行くなんてな」
スモーキーも言う。
「普通ねえしな」
「それを言ったら私も。かなり」
テトムは少し項垂れた。少しでしかない。
「間違えて高野山に来ちゃったし」
「いや、それはよかったのじゃ」
シャーフーはそれでいいというのであった。
「おかげで皆いい修行ができた」
「確かにな。いい修行になった」
爺も歳を感じさせない健脚であった。
「おかげで負けないと確信できるようになった」
「後は油断しないだけだね」
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