第十四話 伊勢巡りその二
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「次の修業は敏捷性だ」
「あっ、マスター=ピョン」
「今度は跳ぶのかな」
「跳ぶだけではない」
それだけではにともいう。
「ただ」
「ただ?」
「まだ何かあるんですか」
「ある、それはだ」
それもまた話すマスター=ピョンだった。
「それは?」
「といいますと」
「上下だけでなく左右にも斜めにも跳び次々に動いてもらう」
こう一同に話す。
「そのうえで修業してもらう、今からな」
「よし、じゃあ今度はそれか」
「頑張ってやるわよ」
「筋肉は一つのことに使うだけではない」
それだけではないというのだ。
「多くのことに使ってこそだ。ランニングや演舞や散歩以外のこともするべきだ」
「何かお医者さんみたいな言葉」
「そうよね、聞いてみたら」
「一つのことだけじゃなくて」
そうしてである。さらに話すのだった。
「他のことをしないと偏りますからね」
「それなら」
「その通りだ。ではやろう」
こうしてであった。今度は全員で敏捷性を養う修業に入った。それぞれ身体を上下左右に動かし素早い動きを続ける。そうした修業だった。
その中でだ。今度言ったのは幸人だった。
「今度の修業はだ」
「どうした?」
ピョンは彼のその言葉に応えた。
「何かあったのか」
「この修業はどうした心を鍛えるのかだな」
「そうだよな。今度は何だ」
岳もそれについて言う。
「どういった心の鍛錬になるのだ」
「それはだな」
「それは?」
「一体」
皆もそれに続く。そうしてピョンが言うにはだった。
「それはより長く高く跳ぼうとするな」
「ええ、やっていると確かに」
「そう思っています」
「今本当に」
「それだ」
ピョンの言葉が止まった。
「そういうことなんだよ」
「高みを目指す」
「より上を」
「そう、これでわかってくれたな」
「はい、確かに」
「それは」
よくわかった彼等だった。そうしてである。
一同はその修業に本格的にかかった。そしてそれが終わった時だ。
「確かにね」
「かなり向上心がさらに高まったっていうか」
「そうよね」
「向上心も欠かすことはできない」
ピョンがそれについて言う。
「だから。君達にはこうした修行もまたいいのだ」
「そうですね、敏捷性は重要ですし」
「動けないと駄目ですし」
「身体だけでなく心も」
「心も俊敏に」
ピョンはこうも述べた。
「そういうことだよ」
「ううん、深いな」
「確かに。修行の一つ一つが何か」
「心を入れ替えるみたいな」
「そんな感じよね」
「その通りだ」
また言ったピョンだった。
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