長城の髑髏
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世界各地でライダーとバダンの戦いが行なわれていた。風見志郎こと仮面ライダーX3も例外ではなく彼もまた戦場に身を置いていた。
「滝さん、それにしてもここは凄く長いですね」
彼は傍らにいる滝に対して声をかけた。
「ああ。いつも思うがよくもこれだけのものを作ったよ」
滝が賞賛を込めた声で言った。二人は今北京郊外万里の長城の上にいた。
この長城は古来より中国が北方の異民族に対する防御として建築されていた。
よく秦の始皇帝が作ったと言われるがそれは少し違う。確かに彼も作るよう言ったがそれ以前より戦国時代の国家であった趙や燕等異民族と国境を接する国が作っていた。彼はそれを繋ぎ合わせ本格的なものにしたのだ。これは司馬遷の『史記』にも詳しい。
この史記においては始皇帝は無慈悲で冷たい心を持つ暴君として書かれている。一面においてはそうであろう。だが彼が傑出した人物であったことは事実なのだ。
彼は北に秦でも特に優れた将と精鋭、そして自身の嫡子を送った。これは息子が自分に従わないからだと後の世にまで言われた。だが違っていた。これは彼の能力を知っておりそして名将の補佐を得て彼を自身の後継者として育てる目的であったのだ。
彼等の防衛の下長城は建造された。膨大な金と多くの人材が必要であった。そして作られていったのだ。確かに労役に駆り出される方としてはかなわなかっただろう。だがそれ程までに北の異民族である騎馬民族は脅威であったのだ。その証拠に始皇帝が倒れ秦が滅びその後に漢を建国した劉邦もまた彼等には苦しめられた。元々農耕民族である彼等にとって馬を自由に操る彼等はこれ以上はないという程の難敵であったのだ。
彼等は匈奴と言われた。ここには漢民族の彼等に対する怖れが見られる。彼等に対して積極的に兵を出し打ち破った漢の武帝にしろ多くの犠牲を払っている。
それ以後も彼等の脅威は続く。我が国でも有名な三国時代の後中国を統一した晋はその内乱の後疲弊したところを攻め込まれ南に逃れている。以後黄河流域は彼等が支配した。なおこの時中国の人口が激減したと言われることがあるがこれは単に戸籍が崩壊しただけである。中国の戦乱の時にはよく人口が激減しまた急に増加するがこれは戦乱により戸籍の資料が失われるからである。従って再び戸籍を調査すると人口はそんなに減ってはいないのである。この時代は戸籍はかなりいい加減になっていた。これは戦乱と貴族の土地に人々が逃れていたからである。南朝には大貴族達が多く秦以来の中央集権制はかなり崩壊していた。北方の遊牧民の系列の北朝は北朝で戦乱に明け暮れていた。従って戸籍がいい加減なのである。
それも隋の登場により終わった。久方振りに中国を統一したこの王朝は北にありその出自は異民族であった。だが皇室も自分達を漢民族だと思っているふしがあった。これは
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