長城の髑髏
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すなわち異民族とは関係が良くないということでもある。
隋もやはり北の異民族とは対立した。ここで長城を修復したのだ。
その後の唐も同じである。北の異民族との対立は続いた。唐の後中国を統一した宋になると事態は更に深刻なものとなっていた。
北の異民族の国家遼はあまりにも強大であった。何と長城を越えていたのだ。これはこの長城をもって境とする漢民族には耐えられるものではなかった。
当然衝突がある。しかし軍の力を抑える為文治主義を採っていた宋が勝てる筈もない。結局毎年貢物を送る羽目になった。遼の後の金になるとさらに酷くなった。外交の失態から金を激怒させた宋は北半分を取られる。そして再び南北朝のようになってしまった。
宋はモンゴル帝国の元に滅ぼされる。そして明が起こる。
明は長城を重要視した。北にはまだモンゴルがいたからである。長城を当時の技術の粋を集め再建築した。これが今の長城である。モンゴルの後の女真族の清もこれには苦戦した。だが明が農民反乱で崩壊し内応者が出て越えることが出来た。こうして清は中国を征服した。
だが彼等も皇族がその本来の言語を忘れてしまう程漢化してしまった。漢民族の文化と同化してしまっていたのだ。ここに新たな北の勢力がやって来た。ロシアである。
帝国主義時代にはロシアは南下してきた。だが長城のところで止まった。漢民族にとってはその地は領土ではないので彼等は騒がなかったのだ。もっとも満州人にとってみればたまったものではなかっただろうが。
清が滅び中華民国になる。丁度その時満州は空き地であり日本がやって来た。そういう時代であった。朝鮮半島を日本としていた彼等にとっては満州は防衛上の要地であった。しかも資源が期待できた。資源の無い我が国にとっては生命線となっていた。
彼等は清の最後の皇帝溥儀を皇帝に迎え満州国を建国した。これは溥儀の強い要望もあった。
ここで中華民国はあまり騒がなかった。それ以前も満州でのことに対して彼等は無関心であった。何故なら自分達の領土ではないからだ。日中戦争はそれを読み違えていた。長城を越えなければ彼等にとってはどうでもいい話なのである。
これは今でも言える。彼等にとって境は長城である。従って北にある勢力を特に警戒する。中国人が最も嫌う国は実は日本でもアメリカでもインドでもない。韓国とロシア、とりわけロシアだという。何故か、北にあるからだ。ソ連時代に彼等は激しく対立した。一時同盟関係にあったが彼等にとって北の勢力は無視出来るものではなかった。
今もそれは変わらない。ロシアが少しでも力をつければ彼等にとっては最大の脅威となる。そうなると台湾や尖閣などとは言っては言られなくなるのだ。
「そう思うと本当に歴史的に意義があるんですね、この長城は」
風見は北を見ながら言った。
「そうだ
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