白夜の魔神
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「これがオーロラか」
一文字隼人は空に浮かぶ幻想的な光景を見て思わず感嘆の声を漏らした。
「写真に撮っておくか」
彼は早速カメラを取り出した。
「そういえば一文字さんはカメラマンでしたよね」
隣にいる役が言った。
「ああ、おやっさんまで忘れてくれたことがあったがな」
彼はそう言って微笑んだ。
そして写真を撮る。緑のカーテンがカメラに収められた。
「前から一度写真に撮りたいと思ってたんだ。やっと願いが叶ったよ」
「良かったですね」
「ああ。じゃあ行こうか」
二人は白夜の街を後にした。
ここはノルウェー。北欧の湖の国である。
その歴史は古い。北欧神話の発祥の地でもあり湖とフィヨルド、そして森とこのオーロラで知られている。
かって隣国スウェーデンに併合されていたが二十世紀はじめに独立した。二次大戦でドイツに併合されたこともあったが今はこうして独立国となっている。
一文字隼人はこのノルウェーに役清明と共に着ていた。その目的は当然決まっていた。
「それにしてもこんなところまでバダンがいるとはな」
二人は街の外れのレストランで鰯料理を食べながら話をしている。
「それが連中です。世界征服には当然この国も含まれているんですから」
役が言った。
「そうだったな。それにしても凄い寒さだな」
「おや、ライダーでも寒いと感じるのですか」
役はそれを聞いて微笑んで言った。
「当たり前だよ。まあ常人よりはずっと寒さには強いけれどな」
「でしょうね。期待していますよ、戦いの時には」
「ああ、任せておいてくれ。雪山で戦ったこともあるしな」
「ベアーコンガーとですね」
「あ、ああ」
一文字はその言葉に少し戸惑いながら答えた。
「よく知ってるな、そんな昔の話」
「ええ、研究しましたから」
役は笑顔で返した。
二人は店を出た。そして車に乗り氷の支配する雪原に向かった。
それを遠くから見る者がいた。双眼鏡で彼等を見ている。
「そちらへ向かいました」
それは戦闘員であった。携帯で連絡を入れる。
「そうか、わかった」
携帯からは了承する返事が返ってきた。
「貴様は下がれ。後は別の者の監視を付ける」
「了解」
戦闘員はその場を去った。後には白夜を照らす太陽だけが残った。
「よし、準備はいいな」
基地の指令室で誰かが戦闘員達に対し問うた。
「既に全部整っております」
戦闘員の一人がそう言って敬礼した。
「うむ、ならばよい」
彼はそれを聞いて満足そうに頷いた。
「この国に基地を建設する前にライダーだけは倒しておきたいからな」
声の主は鋼鉄参謀であった。腕を組んで言った。
「しかも来たのが二号か。これは都合がいい」
彼はインドでのことを思い出していた。
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