GGO編
百三話 誘いの乱入者
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が、リョウの凄まじい剣幕に押され、慌てたように壁際に隠れる。
それを確認することも無く、リョウは聞き耳を発動させる。
ザッ……ザッ……
「……っ」
土を踏む小さな音が、リョウの耳に入りこんだ。徐々に離れて行く……
『くそ……』
リョウは慌てたように外を見た。窓から見えた景色の先には広い田園と森が広がっている。おそらくは森の中から撃ったのだろうが、深い木々により何処から相手を確認することが出来ない……
「……ったくよ……」
それでもしばらく、リョウは森を見つめていた。
先程感じた殺気。あれは、アイリのそれとはまったく性質を別にする物だ。最後に感じたのは、恐らくSAOの中……否、質だけで言うなら、須郷と最後に会ったあの駐車場で、彼が纏っていた雰囲気も同じものだったかもしれない。
本当の意味で……相手を殺す事を目的とする物が放つ、相手を凍りつかせようとするような、独特の雰囲気……SAO(あの世界)では、何度も味わった事のある、殺し合いの空気……
『けどなぁ……』
しかし先程感じたそれは、その中でも最上位のものだ。あれほどの物を発するとなると……
『いずれにせよ、ラフコフって線は当りっぽいなぁ、こりゃあ……』
溜息を付きたくなりつつ、リョウは頭を掻く。そんな彼の左ほお横を……
「……あのねリョウ、私は別に良いんだけど……」
「…………Oh」
蒼色の光剣が、貫いた。
「私との戦闘の途中だって、忘れてるよね?」
「あー、いや、そのだな……」
拗ねたように言うアイリに、リョウは頬を冷や汗が伝うのを感じつつ、両手を上げて答える。
「で、出来れば仕切り直しなんか……」
「すると思うのかな?」
「ですよねー……」
アイリの呆れたような声が聞こえ、リョウは溜息を付きながら頭をガクリと下げた。先程の事が有った以上出来ればここでゲームオーバーはごめんこうむりたかったのだが……
アーメン、詰んだ。済まぬ弟よ、後はお前が何とかしろ。
そんな事を思い、仕方なくリョウは死刑執行の時を待つ。しかし……
「……はぁ……」
そんな思考を、アイリの溜息が遮った。
シュウン。と小さな音が鳴り、リョウの隣からエネルギーのブレードが消える。
「……ありゃ?」
「あのね、リョウ」
首を捻ったリョウに、アイリの声がかかった。
「私はね、今、リョウと正面から戦って勝ちたいって思ってる。だから……今みたいなのは取っても不本意なの」
「お、おう……」
何となく、残念そうに語るアイリの声を聞き、リョウはゆっくり振り返る。そこに、予想通り、少しばかり不満げな顔のアイリが居た。
「……さっき私に怒鳴った時のリョウの顔、とっても怖かった」
「あー、いや、すまん、必死だったと言うか……」
「
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