第二部まつりごとの季節
第二十八話 新城直衛の晩餐
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に尋ねた。
「そう言えば、貴様が面倒をみていた大隊長は、何といったか、」
「何代目の大隊長だ。」
伊藤大隊長達が行った夜襲作戦は剣虎兵の貴重な戦例として研究されており、伊藤大隊長は、大佐へと特進し遺族達も丁重に扱われている。
その後、指揮権を引き継ぎ二代目の大隊長豊久の行動は今でも議論の対象になっている。
衆民出身者からは非難する者も多い、将家だからこそと言うべきなのだろう、分かり易い構図になっている。
「貴様の前の――、あぁそうだ、馬堂中佐だったかな。」
「馬堂豊長の孫だな」
槇はやはりと言うべきか、祖父の名から先に記憶から引っ張り出してきた。
「あぁ、あの金を彼方此方に出している人か。えらく儲けているらしいじゃないか」
樋高が得心して頷くと槇は言葉を次ぐ。
「その息子もやり手だと聞いている。輜重将校上がりだが中々手強いと蓬羽で評判だ」
「駒城の裏方役の一族だ。性質が悪い連中だよ、その末裔にも手を焼かされたものだ」
羽鳥が不愉快そうに呟いた。
「何だ?知った顔か?」
古賀が聞きつけたのか身を乗り出した。
「奴が監察課や軍監本部の防諜室に居た時に、何度か会った。
ある意味此奴より性質が悪いな」
羽鳥がそう答えながら新城を顎でしゃくると槇が声を上げた。
「兵部省に軍監本部だと?
そんな選良が何故貴様なんぞと一緒の部隊に放り込まれたんだ?」
「おい、貴様どういう意味だ。」
思わず苦笑が浮かぶ。
――まぁ確かにあいつも選良の範疇に入っていたのだろうが、俺には胡散臭い場所で胡散臭いやり方を身につけた位にしか思えない。
「成程、役方の将家か。その将家の元選良将校は実戦でつかえたのか?」
樋高が腕を組んで新城に話を戻させる。
「まぁ兎に角、豊久は情報幕僚として十分に有能だったよ――大隊長としては北領で持ちこたえた事で分かるだろう。」
馬堂中佐が苗川で行った導術を活用した陣地防御は、新たな戦闘教義として野戦築城の利用に脚光を浴びせる事になった。先に挙げた伊藤少佐の夜襲と併せ,第十一大隊は実験部隊としての役割を完全に果たしたと言えるだろう。
何百という兵の健気と屍を北領晒した引き換えに、だが。
「豊久? あぁ、駒城の陪臣だ、貴様の旧知でもおかしくないか。」
槇が首を傾げる。
「ん、何時だったか言っていた餓鬼の時からの付き合いの奴か?」
古賀が随分前の話を持ち出した。
「あぁそう考えると納得出来るな。貴様と古い付き合いだ、何もない筈がないな。」
「「「成程な。」」」
羽鳥の茶々に一同が納得したように頷いた。
「おいおい。」
何とも手酷い友人達だ。
いや待て、俺の友人を選ぶ基準には必然的に最初に寄ってきた奴が影響するのだか
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