第八十七話 トリステインの選択
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ても手早く対処できる様に、先日延期になった鉄道網の設置を復活させたいと思う」
マクシミリアンの狙いは、鉄道網を整備する事で、少ない兵力を最速で最前線に送る事でゲルマニアへの備えを整えたかった。
語り終えたマクシミリアンが座ると、マクシミリアンこの発言に財務卿のデムリがミランの許可を得ずに慌てて立ち上がった。
「お、恐れながら陛下!」
「財務卿、発言は手を挙げてから行ってください」
ミランがデムリを注意するとマクシミリアンは『よいよい』と手で発言を許可するジェスチャーを送った。
「ははっ、本年分の予算配分は既に終了していて、新しく補正予算を組む必要があります」
「ならば、補正予算を組む様に取り計らってくれ」
とマクシミリアンが当然の様に言う。
「ですが、昨今のロマリアへの寄付金で、わが国の経済は少なからず圧迫され、大規模な補正予算を組むには、難しいと思われます。せめて来年に持ち越しする事をご検討下さい」
「むう」
教育改革で背負わなくてもいい重荷を背負ってしまった手前、ロマリア関係で突っ込まれるとマクシミリアンも弱い。
だが、マクシミリアンもここで妥協する訳にはいかない。
「なにもトリステイン全土に鉄道網を敷けといっている訳じゃない。敷いて欲しいのは三つお路線だ」
「三つの路線ですか?」
今まで会議の行く末を見ていた宰相のマザリーニが、初めて口を開いた。
「そうだ。ゲルマニアと対峙した際に考えられる三つの戦線。トリスタニアからロレーヌ、リュエージュ、ラ・ヴァリエールの三つの路線を早急に整備する。財務卿、これならば予算の確保は可能では無いか? 検討して欲しい」
「か、かしこまりました、ただちに検討いたします7」
デムリは汗をだらだら掻きながら、マクシミリアンに一礼をした。
その後も御前会議は滞りなく終わり、当面のトリステイン王国の行動指針は、様子見の為に中立を保つ事に決まった。
また、会議後デムリが持ち帰ったマクシミリアンの案を、財務官僚らが検討した結果、予算が下りることになり、三つの路線の工事が進められる事になった。
鉄道が完成すれば、大量の兵力を迅速に国境に輸送させること期待できる。
小国だからこそ、富国強兵に一切の妥協をしないマクシミリアンの努力は続く。
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