第八十七話 トリステインの選択
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ア国内のトリステイン人の早急な国外退去を促す事などが会議で決まった。
「以上でございます。国王陛下のご聖断を頂きたく……」
そう言ってミランは深々と頭を下げた。
「決を下す前に、二三聞きたいことがある」
「は、何なりと」
「現段階で、トリステインが動員できる兵はどのくらいか?」
『ざわ……ざわ……』
マクシミリアンの言葉に会議に参加していた閣僚から、ざわめいた声が上がった。
「控えぃ! 陛下の御前なるぞ!!」
ミランが一喝すると、会議室はシンと収まった。
「ああ、勘違いしないで欲しい。別に今すぐ侵攻する訳じゃない。今のトリステインにそんな暇は無い事はわかる」
「でしたら、私が説明いたしましょう
マクシミリアンの言葉に、ラザールが立ち上がり、動員数諸々を喋りだした。
「皆さんも知ってのとおり、トリスタニアでは増築計画が発動中で、それ程多くの兵員は動員する事は出来ません。トリステイン経済に悪影響しない動員数は、およそ2万。それ以上の動員は経済活動に悪影響が出ると、我ら参謀本部が換算いたしました」
「たったの2万か……」
各閣僚からため息に似た声が上がった。
近代戦とは即ち総力戦だとマクシミリアンは思っている。
どこかの国と戦う場合は、もちろん兵力も必要だが、国民を根こそぎ動員しては経済を回す事が出来ない。
マクシミリアンが即位してから1年。
先のエドゥアール王の時代から工業化を推し進めるトリステインだったが、小国ゆえか、少ない人口で戦争しながら経済活動が出来るほど国力は無い。
ギリギリの兵員動員数が僅か2万では精々一会戦分の兵力しか確保できなく話にならないと、ラザールは閣僚らの前で熱弁した。
戦争どころではない理由は他にも在る。
マクシミリアンはトリステイン軍の軍制改革に着手し、ハルケギニアでは常識だった徴兵制から志願制に少しづつシフトするように改革を進めた。
少ない兵力しかないトリステインの苦肉の策として、少数精鋭の軍にする事が、小国であるトリステインのとる道だと参謀本部は答えを出し、マクシミリアンはその実践を始めた。
今すぐ徴兵制から志願制に変えれば、大混乱になるのは必須な為、時間をかけての改革とはいえ、少数精鋭への道は未だ途中。今現在のトリステインの状況では、トリステイン側からゲルマニアへの侵攻など自殺行為とラザールはマクシミリアンら閣僚に説明した。
「陛下。可能な動員数については以上です。我がトリステインがゲルマニアと杖を構えた際には限界でも2万。国内の防衛に割く分を計算に入れれば、その数はもっと少なくなり、ゲルマニアに侵攻した場合、兵力不足で一ヶ月と持たないでしょう」
「ありがとう、ラ
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