第八十七話 トリステインの選択
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アンが国王に即位して王宮に移ってから、マクシミリアンとカトレアの寝室は別々になってしまったが、マクシミリアンやカトレアが風邪などの体調不良で無い限り、大抵マクシミリアンはカトレアの寝室で夜を明かした。
毎夜毎夜の営みで、周囲は人々がカトレアの懐妊が期待したが、未だにその傾向は無い。
マクシミリアンは、コートの様に分厚いマントを羽織ると、次の日には絶対に肩の凝るほど重い王冠を被った。
「被り慣れないな……ではカトレア、行ってくる」
「はい、マクシミリアンさま。いってらっしゃいませ」
マクシミリアンはマントを翻すと、セバスチャンと共に部屋を出た。
腹の中のイライラをカトレアに悟られないように、廊下を進むマクシミリアン。窓の外は漆黒で、双月も厚い雲に隠れてしまっていた。
(策士、策に溺れる、って奴か? まったく……)
と、内心毒気づいた。
カトレアにはゲルマニアへの謀略を喋ってはいない。それどころか闇の部分に関しては一切触れさせていない。
何故触れさせないかというと、謀略に携わっていることが知られる事で美しいカトレアが穢れると思ったからだ。
(感情を持たないガーゴイル相手ならこんな事は無かったのだが……まあ良い経験になったと思っておこう)
無理矢理ポジティブに考え、会議室の前に立つと、守衛の兵士がマクシミリアンの到着を会議室の面々に知らせた。
「国王陛下。おなぁ〜〜〜りぃーーーーー!」
守衛の声に会議室の全ての臣下が一斉に起立すると、入室したマクシミリアンに礼をした。
会議室は長机がU時を描いて設置されていて、層々たるメンバーが席について議論を交わしていた。
会議に参加している主な閣僚は、宰相兼内務卿のマザリーニ、外務卿のペリゴール、財務卿のデムリ、空軍卿のトランプ提督、最後の陸軍卿はマクシミリアンが兼任していた為、代理に総参謀長のラザールが出席していた。
他にも次官クラスの人材が会議に参加していたが、情報局のクーペの姿が無かった。
入室したマクシミリアンは、会議室の上座に設置されている玉座の前に立つと、マザリーニら御前会議参加者に着席を命じた。
「着席してよい」
ガタタ、とマクシミリアンが着席を促した事で、臣下達が一斉に、予めタイミングを計ったかのように同時に着席した。
「早速だが、今までの議論の詳細を聞かせて欲しい」
玉座に座ったマクシミリアンは、今までの会議の内容を聞くと、会議の議事進行係を努めていたミランが立ち上がり詳細を語りだした。
議論の結果、トリステインはゲルマニア国境を無期限の警戒態勢を発令させる事と、外務卿のペリゴール主導でゲルマニアの情報収集をさせる事と、いざ内乱となった場合に備えて、ゲルマニ
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