第八十七話 トリステインの選択
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?」
「駄目です!」
「むう、仕方ない」
ブランデーを諦めたマクシミリアンは、仕事を終えたばかりの机の上に、両足をドッカリ乗せて足を組んだ。すこぶる行儀が悪かった。
そんなマクシミリアンの態度を見て、カトレアは眉をひそめる。
「マクシミリアンさま。子供じゃないんですから、そんなに拗ねないで下さい」
「……悪かったよ。ほら、これで良いだろ」
マクシミリアンは机に乗せた両足を下ろして、お行儀良くした。
ここ最近の夫婦のやり取りは、夫が深酒をしようとして妻がそれを諌める……そんな事ばかりだ。
カトレアは、愛する夫がロマリア関係でストレスを溜めているのが分かっている為か、それ程強く言わない。
「お酒は駄目ですけど、紅茶はいかがですか?」
「……本当は酒が欲しかったんだけど仕方が無い、貰おうかな」
「すぐに淹れますね」
何処から持ってきたのか、カトレアは魔法のポットと紅茶葉で紅茶を淹れ始めた。
「メイドコンビじゃなくて、カトレアが自分で淹れるのか」
「二人の足元にも及びませんが」
「いや、カトレアが淹れたのも飲んでみたいな」
「楽しみにしてて下さい」
カトレアは、以外に手馴れた手付きで紅茶を淹れ始め、暫くしてカトレアの淹れた紅茶がマクシミリアンの前に置かれた。
「どうぞ、お口に合うか分かりませんが」
「なに、カトレアの淹れたお茶だ、不味い事は無い」
マクシミリアンは、砂糖やミルク等は一切入れず、カトレアの紅茶を一口含んだ。
「いかがでしょう?」
カトレアは不安げな表情でマクシミリアンを見た。
「美味しいよ」
「良かった」
マクシミリアンの答えにカトレアはニッコリ笑った。
一方のマクシミリアンも、カトレアの気遣いに触れ、ロマリアへの不満を忘れた。
だが、そんなマクシミリアンを驚かせ不機嫌にさせる報せが届いたのは、夫婦のやり取りから3時間後の事だった。
☆ ☆ ☆
ゲルマニア皇帝がチェック貴族に殺害された第一報が届くと、トリステイン王国の各閣僚が緊急に王宮に集められ、対策の為の御前会議が行われる事になった。
閣僚達が会議室で対策を行っている頃、マクシミリアンはカトレアとセバスチャンら使用人達に手伝って貰いながら、御前会議に出席の為の準備を行っていた。御前会議という事で、マクシミリアンは重い王冠を被った正装で出席しなければならなかったからだ。
「カトレア。今日は遅くなりそうだから先に休んでてくれ」
「分かりましたマクシミリアンさま」
マクシミリ
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