第1章 やって来ました剣と魔法の世界
第11話 男女七歳にして
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を見つめ返す。
俺の方は疑問の籠った視線で。彼女の方は……彼女の方も疑問を感じているな。
そう言えば、ひとつ、重要な事を聞いていなかったか。
「あのなぁ、タバサ。ひとつ聞きたいんやけど、この世界の使い魔契約の解除方法とは、どう言う仕組みに成っているんや?」
かなり、嫌な予感を覚えながらも、そう聞く俺。
ちなみに、俺の式神契約は、双方の合意の元でなら解除可能です。もっとも、未だに解除した契約と言うのは存在していないけど。
「この世界の使い魔契約は、使い魔、もしくは主人のどちらかが死亡するまで続く契約」
タバサがこれも普段通りの口調で淡々と答えた。
……って、言うか、死がふたりを分かつまで離れる事の出来ない男女の間柄?
そんなモン、婚姻と同義語じゃないですか?
いや、ある意味、婚姻よりも深い関係じゃないですかね、その関係は。婚姻は、神の前で誓おうが、それ以外の前で誓おうが、解消する事は不可能では有りません。
しかし、この使い魔契約は……。
【先ずくちづけを以て契約を果たし、次に宝石を渡す事に因ってふたりの距離を近付けた。
最後に、そのお弁当を食べさせる事が最初の夫婦共同作業と言う事かな、シノブくん】
流石に、実際の言葉にする事は有りませんでしたが、アガレスが【指向性の念話】でそう告げて来ました。
……って、何が最初の夫婦共同作業ですか。そもそも、単なる使い魔契約を交わしただけでしょう。俺と彼女は。
ただ、途中で解除が出来ないと言う、メチャクチャ大きな問題が有る使い魔契約なんですけど……。
しかし、これも仕方がないですか。この感じでは、ハルファスがタバサの食べ易いお弁当を準備してくれる可能性はゼロ。それに、タバサがお箸の使い方を覚えてくれたら、後々ラクなのは事実ですし。
実際、この世界ヴァージョンのテーブル・マナーが有ったとしても、日本のコンビニ弁当で使えるようなテーブル・マナーの可能性は低いでしょうから。
一生、解除出来ない使い魔契約に関しては……どうにか成るでしょう。そもそも、使い魔は一人に一体だけ、と言う決まりにも抜け道が有ったのです。それに、彼女、タバサに俺が必要なくなったら、その時に考えたら良い事ですから。
少なくとも、明日の朝飯以降の事よりは、今晩の晩飯の心配を先に片付けるべきですかね。
そう思い、既に式神たちの始めた宴会用の敷物の端にちょこんと言う雰囲気で座って、ハルファスやアガレスの勧める酒精を口にするタバサに対して、俺はこう告げたのでした。
「そうしたら、タバサ。お箸と言うモンの使い方を教えるから、覚えてくれるかな」
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