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我が剣は愛する者の為に
初陣
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この状況だと俺達のブレインになるな。

「私は兵法などを読んだりした程度です。」

「私も星と同じ。」

星と胡蝶は兵法を読んだだけ。
これは俺と同じ。
一刀は兵法すらあまり読んでいないだろう。
何より、武器がまだ木刀だ。
と、先に放っていた偵察隊が戻ってきた。

「報告!
 これより先で賊が部隊を展開しています!
 奴らも我らの接近に気がついているかと!」

「了解。
 さて、配置を説明するぞ。
 先陣は俺と優華だ。」

「げっ!?」

配置を聞いた時に優華が嫌そうな声と表情を浮かべる。

「黎の傍が良い!」

「駄目だ。
 黎は後方で敵の動きを予想して、部隊を動かして指示してもらわないといけない。
 お前の突破力があれば、勢いづくだろ。」

『優華、頑張って。
 怪我しないでね。』

「うっ・・・分かったわよ。」

黎に応援されて、引くに引けなくなった優華は渋々と了承する。

「右翼を月火、左翼を星が担当してくれ。
 中盤に豪鬼と胡蝶、本陣には黎と一刀。
 作戦内容だが、俺が賊に突撃して相手を混乱させる。
 その後に先陣の部隊で追撃でさらに戦局を乱して、続いて左翼右翼部隊が両側から敵陣をさらに崩していく。
 詰めに中盤の部隊が先陣の部隊と協力して、賊の本体を潰す。」

「一つだけ。
 縁殿が危険すぎます。」

星の言葉に優華と胡蝶以外が頷く。
この二人は心配なんてしないだろう。

「賊相手なら問題ない。
 それに優華がいるし。」

「乱戦の隙に後ろから刺すかもね。」

「それは背中もしっかりと警戒しておかないとな。」

優華の嫌味を俺は警告と受け入れる。
嫌味が通じなかったのでふん、と顔を逸らす。

「私は乱戦で刺激的な戦いをしたいんだけど。」

「そこは堪えてくれ。
 時期を見て、先陣を援護してくれ。」

「まぁ、その時に楽しませてもらうわ。」

妖艶な笑みを浮かべる胡蝶を見て、俺は豪鬼に小声で話す。

「胡蝶の事を頼んだぞ。」

「あれを儂が制御できるか分かりませんが、出来る限りやってみます。」

『縁様、気をつけて。』

「黎、しっかりと指示を頼んだぞ。」

『皆を傷つけない為に頑張る。』

竹簡に書いてある文字を見て、俺は黎の頭を優しく撫でる。
最後に俺は一刀に言う。

「一刀、お前は木刀だから一番安全な本陣に置いた。
 戦は初めてだな。」

「う、うん。」

戦の気に当てられたのか、少しだけ震えていた。

「人が多く死ぬ。
 それをしっかりと眼に焼き付けておけ。
 お前もいずれは戦場に立つからな。
 って、偉そうに言うが俺もこういう風に兵を率いて戦場は初めてだ。」
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