本編前
第六話
[6/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
なにがなんなのか、まったく分からない状況で、僕は置いてけぼりにされ、アリサちゃんとすずかちゃんは靴を履き替えている。
ここは、大人しく靴を履き替えることにしよう。
理解は出来ないが、自分がやるべきことを把握して、僕は靴を履き替える。僕が、靴を履き替え終わる頃には、既にアリサちゃんもすずかちゃんも履き替えて、出口の近くでやっぱり僕を待っていた。
「あのさ、僕には状況がまったく分からないんだけど」
「ショウのくせに鈍いわね。今日は塾でしょう? だから、あたしの車で一緒に行きましょうってことよ」
なるほど、それなら、僕を待っていてくれた理由も分かる。だけど、急にどうしたんだろう?
「ふふっ、アリサちゃん、ショウ君が自転車で来てることに今まで気づいていなかったんだって」
「ああ、もしかして心配してくれたの?」
「そうよっ! あたしが勧めたのに帰りに事故にあったんじゃ、申し訳ないじゃない」
なるほど、確かに塾が終わって帰る時間帯というのは既に日が暮れている。昼間よりも事故にあいやすいのは事実である。
もっとも、最初は車の予定だったのだが、母さんが妊娠していたのだから仕方ない。親父が帰って来る時間には少し早いし。結果として、僕は自分の手で行くしかなく、となれば、小学生の移動手段なんて歩きか自転車ぐらいしかない。
「だったら、早くあたしたちに言えば、送ってあげたのに」
そうは言っても、僕も言えば送ってくれるとは思っていなかったのだから仕方ないだろう。
というよりも、彼女たちが僕のことをここまで親しく思ってくれていることに意外感を感じている。
確かに、僕たちが友達になったときから話す回数は増えたし、塾では三人で固まって授業を受けているようなもので、他のクラスメイトよりも親密感はあったかもしれないが。
「ほら、早く行くわよっ!」
だが、ここでぐだぐだ悩んでも仕方ない。せっかく乗せて行ってくれると言っているのだ。しかも、すでに僕が乗ることは決定事項になっているみたいだし。それに断る理由もない。
贅沢を言うなら、冬休みに入る前には気づいて欲しかったということぐらいだ。冬の自転車は寒かったな。
そんなことを考えながら、僕はアリサちゃんとすずかちゃんと共に車に乗り込むのだった。
◇ ◇ ◇
さて、先生に高町さんについて調べてくれ、といわれた次の日の夕方。なぜか僕は『高町家』という表札のついた門の前に一人で立っていた。理由は言わなくても分かるだろう。先生の差し金だ。
休み時間を精一杯使って隣のクラスを調べた僕だったが、その結果を先生に報告に行くと、その結果を高町家に持っていて欲しいと頼まれたわけだ。表面上は、高
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ