本編前
第六話
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「この学校のクラスは、成績順なんだ。私のクラスが一番上。次が隣ってな具合にな」
今、明かされる衝撃の事実。確かに残った面々を思い浮かべてみると学力が高かったような気がする。
しかし、これって実は生徒に知らせちゃいけないんじゃないかと思う。なにせ、近年、平等、平等と叫ばれる世の中だ。僕には信じられない話だが、小学校の運動会で手を繋いで徒競走とかもあるらしい。
そんな中でクラスを成績で編成するなんて……
「まあ、秘密といえば秘密だが、公然の秘密ってやつだ。理事とかやってる親を持っている生徒は知ってる奴も多いからな」
さすが、私立というべきだろうか。公立の生ぬるい小学校とは格が違ったようだ。
「はあ、分かりましたよ。僕は便利屋じゃないんですからね」
「ああ、分かってるさ。頼りになる私のクラスの学級委員長様だろう」
先生は笑いながら言ってくれたが、改めて、先生にここまで信用される小学生って一体、と思ってしまった。
◇ ◇ ◇
ああ、早くしないと、塾に遅れるな、と思いながら僕は夕焼けの紅に彩られた廊下を歩く。
実は、去年の夏休みから僕はアリサちゃんやすずかちゃんの勧めで塾に行っている。
その塾は特殊で、将来偏差値の高い学校を狙うための人の塾らしい。小学一年生にして、文章題が出てくるぐらいのレベルだ。学校の授業やテストでぬるい―――常に満点―――と感じている僕を見て二人が勧めてくれた。
勉強は楽しいと感じるものではないが、せっかく前世を持っているという利点があるのだ。せいぜい、この頭を錆び付かせないように、と思って僕はその塾に通っている。
今度から中学生レベルの問題でもやらせてもらうおうか。
そんなことを考えながら、僕が下足場の入り口へと着くと、その場には見慣れた金髪と黒髪の少女が鞄を持って何かを話していた。僕の友人であるアリサちゃんとすずかちゃんだ。
一体、どうしたというのだろう。彼女たちもこれから塾である以上は、早く帰るべきだとは思うのだが。
「あっ! 来た来た! ショウっ、遅いわよっ!」
「あ、アリサちゃん、ショウくんは先生に呼ばれてたんだから……」
僕から声をかけようと思った矢先に僕を見つけて激昂するアリサちゃん。そして、それをなだめるすずかちゃん。いつものやり取りだった。
さて、アリサちゃんの言葉から考えるに僕のことを待ってるみたいだったけど。
「ほらっ! 早く行かないと遅刻しちゃうわよ」
「え? え?」
まだ状況把握が出来ないまま、僕はアリサちゃんに手を引かれ、下足場の自分の靴がおいてある場所まで連れてこさせられた。これは、早く履き替えろ、ということだろうか。
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