本編前
第六話
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するなんてことはしょっちゅうだったような。
「というわけで、私も参加しなくちゃいけないわけだ。今となって思えば、担任だけにすればよかった、と後悔してるよ」
どうやら、これはまだまだ本題ではなかったようだ。とりあえず、僕はコクリと頷いて先を促した。
「で、まあ、高町の親御さんと客室で出会ったわけだが……やけに親御さん両方ともぴりぴりしててな。こりゃ、何かあったのか? と思って隣の担任に聞いてみたら、どうやら高町のやつ不登校になってるらしい」
「不登校ですか……」
僕は、先生の口から出てきたあまり聞き覚えのない言葉を思わず繰り返してしまった。
不登校という言葉は僕にとって、あまり馴染みのない言葉だ。幸いなことに僕の周りには、前世も含めてそういう類のことはなかったからだ。
「ああ、もっとも、定義から言うと不登校は30日以上だからまだ10日ぐらいしか休んでいない高町に使うのは適当じゃないんだが……まあ、似たようなもんだ。それで、その親御さんは、高町が不登校になった原因を探りにきたってわけさ」
「風邪とか病気じゃないんですね?」
小学生というのは抵抗力が低い。だから、特に弱い子は一週間とか普通に休んだりする。僕も小学生の頃は、何度かそういう子のお見舞いに行ったことがある。高町さんは、お見舞いに行ったことないから、去年は一度も休まなかったはずだ。それが、今年になって病気になってたまたま長引いてる、というオチを期待したのだが、先生はあっさりと首を左右に振ることで僕の希望を否定してくれた。
「それなら、何の問題もないだろうよ。だけど、来た以上は問題があったってことさ。なんでも、高町が学校を休む理由は『学校に行きたくない』んだと。その行きたくない原因は分からないらしいが。それで、学校に来たって訳さ」
「いじめがないか? って探りに来たってところですか」
「その通り」
確かに学校に行きたくない、なんて言葉が娘の口から出たら、親としてはまず第一にそれを疑うだろう。
しかし、である。僕が学んだ限りでは小学校低学年におけるいじめというのはそうそうない。
いじめにも標的になる色々なタイプがある。弱いやつ、身体的特徴が目立つやつ、理由を挙げればキリがない。というよりも稀に原因がないいじめというのがあるから厄介だ。『なんとなく』でいじめの標的にされてしまうのだから。
だが、それらを加味したとしても高町さんはいじめのターゲットにされるようなことはないはずである。彼女は、幅広くどのコミュニティーにだって顔を出していた。逆にどこか一つのコミュニティーと深く付き合うということもなかったけど。
「で、まあ、単刀直入に『いじめとかではありませんよね』と聞かれたわけだが……あのときの父親の目
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