本編前
第六話
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雑用係として使うことが多い。
小テストの採点なんてざらだ。特に小学生の低学年は、三つ以上の手順を踏む作業は無理だと思っていい。例外は、僕やアリサちゃん、すずかちゃんなどのごく一部だけだ。その中でも、僕は男ということもあって使いやすいのだろう。
そして、今日もその類だろうと思っていた。しかし、その予想は意外な方向に外れていた。
「蔵元、突然だが、私は昨日、生まれて初めて死を覚悟したぞ」
「……何を言ってるんですか? 突然」
突然と前置きされていながら、そう聞かざるを得ない状況。
この平和な、平和ボケしすぎたといっても過言ではないこの日本でいつ死を覚悟するような場面があるというのだろうか。
「まあ、そう言うだろうと思っていたが、とりあえず聞いてくれ」
そういわれたら聞かざるをない。なにより、僕自身、先生が死ぬ覚悟をするような羽目になった顛末を聞きたいと思っていたから渡りに船だ。
そして、先生は僕に傍にあった丸椅子に座るように勧めてぽつぽつと昨日の出来事を語り始めた。
「出来事は昨日の放課後になる。昨日の放課後は、親御さんとアポが取れててな、会うことになってたんだよ。ほら、覚えてるか? 高町なのはって子。去年はお前と同じクラスだったんだが」
「ええ、覚えてますよ」
クラスメイトぐらいはいくらなんでも全員覚えている。しかも、まだクラス替えしてからすぐの時期だ。忘れられるはずもない。もっとも、高町さんとはあまり僕と関わることはなかったが。
その高町さんだが、今年はクラス替えで別々のクラスになった。確か、隣のクラスだっただろうか。
「あれ? でも、隣のクラスなら先生は担任じゃないから会わなくてもいいんじゃ?」
「まあ、そうなんだが。私は一年生の担任の中でリーダーみたいなやつをやらされてるんだよ。お前のせいで」
「なんか、今、ごく自然に僕のせいで責任を押し付けられたみたいな発言があったんですけど」
「ああ、事実だからな。お前がクラスをまとめてくれるから私の仕事が少ない。よって、私がなるべきである。以上」
「僕がまとめている事実はないんですが」
確かに二年連続で学級委員長だし、色々世話も焼いているけど、まとめているなんて自覚はない。
「はっ、それはお前が他のクラスの状況知らないからいえるんだよ。私のクラスはおそらく、お前が仕切れば、唯々諾々と従うだろうよ。もう、去年の段階で上下関係は出来てるんだ。新しく入った連中も時間の問題だろう。お前がいるだけで、そうそう不都合は起きないだろうさ」
そういえば、一年生の後半ぐらいから、厄介ごとが起きたら、まず僕に持ってくることが多かったような気がする。裁判長じゃないけど、お互いに事情を話して僕が裁断
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