過去語り
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かせ、せがんでくるシャルロットを見ていると不思議な感覚に襲われた。
(……なんだったかな、この感覚は?随分と懐かしくもあるけど、胸も刺されるようだ)
どうしても思い出せない。しかし、目の前のシャルロットを見ているとどうでもいいような感じがした。
「先ずは何から話そうかな」
…………
「最初の切欠は織斑先生と出会ったことかな?海に浮かんでいた僕を助けてくれたのがあの人だからね」
「海に?一体何があったの?」
「ごめん。実はそれ以前の記憶が無いんだ」
「あ……ごめんなさい」
何か無神経な事を訊いてしまったと顔を曇らせたが、気にしないでと返された。
「そこから一悶着あって、結局織斑先生の家で暫く厄介になることになったんだ」
その後のこと
――――――――――――――――――――――――
「済まんな。食事は全部弟に任せていたからろくなものが作れん……」
夕時、織斑家の食卓には凄惨な料理が並んでいた。荷崩れした目玉焼き。焦げすぎた肉じゃが。メトロダウンしたご飯。
「は……はは」
普段から雑食だった切嗣も笑う事しか出来なかった。目玉焼きが荷崩れって……
「ま、まぁ僕も料理出来ないですし」
そう言うと切嗣は意を決し、箸を付けた。
「ど、どうだ?不味いか?」
不安げに尋ねる千冬。不味いが先に出るあたり大体覚悟は出来ているのだろう。
「……普通だ。え、どうして?味は普通……と言うか美味しい……?」
ところが見た目に反し、味は至って普通だった。
「本当か?」
心なしか、千冬の声も弾んでいた。
「ええ」
少なくとも「泰山」のバイオテロよりは。
そこからは、黙々と食事が続いた。
…………
「しかし、何でお前は海に沈んでいたんだ?」
食事が終わりひとごこち着いたあと、リビングのテーブルに二人は向かい合っていた。
「すみません。それは僕にも……」
彼女には記憶が無いと言ってある。……全くの嘘では無い。少なくとも、この世界に来てからの記憶は一切無い。
「そうか……何か自分の記憶の手掛かりになるような物は無いのか?」
そう言われても、どうしようもない。何せ今の切嗣には銃は愚か、何も無かった。
「在ればここまでは苦労しなかったのですけどね……ん?」
一応ダメ元でポケットをまさぐっていたら、何かが切嗣の手に触れた。
「これは……?」
引っ張り出してみると、何かキラキラ光る宝石のようなモノが出てきた。
「……衛宮、それをどこで手に入れた?」
突然、千冬の声が険しくなった。
「コートのポケットに入っていたんですけど……っ!?」
手の中で宝石見たいなモノを弄んでいると、突然それは光を放った。
「くっ」
本能的にそれを手放す。ゴトンッという音を立て、それの光は急に収まった。しかし、依然として千冬の顔は険しいまま
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