本編前
第五話
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越えて外野までボールが来ることなんてないし。
だから、僕はついつい、人を目で追ってしまう。
ああ、そんなに固まったら、ボールの餌食だぞ。
ドッジボールというのは、適当に散らばったほうが逃げやすくていいのだ。
人が固まって団子になっていたら、ボールがきても逃げられないし、ボールが一人に当たると連鎖的に当たってアウトになる場合もある。
もっとも、近くにいる人を盾にするというのなら話は別だが。
というか、すずかちゃんがいつも流している髪をポニーテイルにして、すごい勢いで相手陣営を崩していっていた。
小学生ということを除いたとしてもすごい威力だ。男子と比較しても引けを取らない。というか、明らかに男子が投げるボールよりも威力がありそうなんだが。ちなみに、彼女は僕の敵陣営である。
とかなんとか思っていたら、僕が危惧したことが起きてしまった。
つまり、団子状態になったままで人の波が引くことだ。
これは、味方陣営のエースが投げたボールが不意に取られてしまったときに起きやすい。
速攻の反撃を恐れてか、ハーフラインに近い人間が急に距離を取ろうとする。だが、すぐ背後には、ボールを恐れて固まっている人間がいるのだ。
その結果、逃げようとした人間、その場にいた人間がぶつかってしまう。
ボールを恐れていても、運動神経がよければ、体勢を立て直すことが可能な人間もいるだろう。
事実、何度か同じようなことが起きても転ぶような人間はいなかった。
しかし、今回は当たった人間が悪かったというべきだろうか。急に引いた人の波に対応しきれず、ぶつかってしまい、その結果、転んでしまった女の子がいた。しかも、不意にぶつかってしまったせいか、両手をつくことさえ出来ずにズザザーとヘッドスライディングのように滑っていった。
もしも、体操服がジャージなどの長袖長ズボンで肌が隠れていれば大丈夫だったかもしれない。
しかしながら、このご時勢にあって、我が聖祥大付属小学校はブルマという恐ろしい選択を取っていたので肌がむき出しだ。
たぶん、何かしら怪我をしているだろう。早く立ち上がれればいいのだが怪我が酷いのか、あるいは痛いのか、その両方か、中々立ち上がらない。
しかも、悪いことは重なるもので、体育で身体を動かしている興奮感が視野を狭くしているのか誰一人、彼女に気づいていない。
頼みの綱の先生に至っても他のクラスメイトが壁になって先生からは死角となって気づいていない。
と、そこまで状況把握していれば、動き出さずにはいられない。
本来、僕の目の前のラインを超えてしまえば、敵陣営なので文句を言われても仕方なのだが、そんなものは無視してコートの中に入る。
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